2014年11月21日
「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」の成立に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 本日11月21日、衆議院本会議において「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」が与党を中心とする賛成多数で可決・成立した。同法は、一部の労働者を対象に、昨年4月に施行されたばかりの有期労働契約の無期転換ルール(※)に関して特例を設けるものである。個別法の制定により本来すべての労働者に等しく適用されるべき基本的な民事ルールについて特例を講じるという手法には、極めて大きな問題がある。
- 同法の主な内容は、(1)「5年を超える一定の期間内に完了することが予定されている業務に就く高度専門的知識等を有する有期雇用労働者(高度専門労働者)」及び「定年後に有期契約で継続雇用される高齢者」について労働契約法第18条の無期転換申込権発生までの期間(5年超)に関する特例を設けること、(2)特例適用にあたって、事業主は対象労働者に応じた雇用管理に関する計画を作成して厚生労働大臣に申請すること、(3)厚生労働大臣は事業主が申請した計画について「基本指針」に照らし認定を行うこと、等である。
- 連合は、雇用安定のための無期転換ルールを一部の労働者について見直すとする同法の内容について、雇止めの不安の中で働く有期契約労働者の雇用の安定を後退させるものであり、また、すべての労働者に等しく適用されるべき民事ルールのあり方に照らして許されないと強く反対してきた。また、民事ルールの適用にあたって行政庁が関与する仕組みとすることにも慎重であるべきこと等を主張してきた。しかし、こうした連合の主張に耳を貸さず、衆議院の解散を目前にして駆け込み的に強行採決を行った政府・与党の姿勢は極めて遺憾である。
- 今後、同法の施行に向け、関係する省令や「基本指針」等にかかる審議が労働政策審議会で行われることとなる。連合は、今回の特例が有期労働契約の濫用的な利用を抑止するとともに有期契約労働者の雇用安定を図る無期転換ルールの趣旨を損なうものとならないよう、審議会対応に全力で取り組んでいく。また、無期転換申込権が発生する直前での雇い止めを防止するため、実効性ある対応を講じるよう、政府に強く求めていく。
(※)同一の使用者との間で、有期労働契約が反復更新されて通算で5年を超えたとき、労働者の申し込みにより無期労働契約に転換できるとするルール
以上