事務局長談話

 
2014年10月16日
特定秘密保護法施行令・運用基準の閣議決定に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  10月14日、政府は、特定秘密保護法の施行令案と運用基準案を閣議決定した。特定秘密の指定には拡大解釈の懸念が残されていること、「独立公文書管理監」などのチェック機関の独立性が確保されていないこと等、問題がある。

  2.  閣議決定に先立ち、政府は、パブリックコメントを実施し、国民の知る権利の尊重を具体的に記述、公益通報の通報対象事実や政府による違法行為の秘密指定禁止などの修正を行った。連合は、労働者の立場からパブリックコメントに36項目の意見書を提出し、主に[1]労働組合の活動について調査してはならないこと、[2]現場の混乱を避ける観点から特定秘密の保護に関する教育を実施すること、[3]苦情処理申出者による意見陳述・資料提出の機会を付与すること、[4]5年後の見直し規定を入れること、の4項目が修正点として盛り込まれた。

  3.  しかし、法の施行・適性評価の実施に伴うセキュリティー対策など企業の新たなコスト増への対応や、特定秘密となりうる製品の製造に関わる中小企業への対応、秘密指定のあり方、適性評価による雇用・労働条件や人事管理上への影響、苦情の申出に関する法的対応、「独立公文書管理監」などのチェック機関の独立性確保などについては修正されないうえ、「別表第2号(外交に関する事項)」も原案通りであり、また、「報道・取材の自由への配慮」の具体化もなされておらず、恣意的運用の懸念は払拭されていない。

  4.  特定秘密保護法は、国民の懸念が解消されないまま、12月10日から施行される。連合は今後、特定秘密保護法がかかえる「知る権利・報道の自由」、「国会のチェック機能のあり方」などの運用上の問題点に注視するとともに、特定秘密の指定のあり方、適性評価とプライバシー保護について、職場での混乱や労働者に不利益が生じないよう、構成組織・地方連合会と連携をはかり引き続き取り組んでいく。


以上