事務局長談話

 
2014年07月30日
2014年度地域別最低賃金額改定の目安に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  7月29日、中央最低賃金審議会(以下「審議会」)は、2014年度地域別最低賃金の引き上げ目安について田村厚生労働大臣に答申した。
     答申の内容は、目安額の全国加重平均を16円とするものである。これは、過去最大の上げ幅であり、5都道県の生活保護水準との乖離はすべて解消されることとなった。しかし、生活できる最低賃金水準にまで議論が及ばなかったことは遺憾である。

  2.  経済指標等をもとに各都道府県を4つに分けたランク別では、Aランク19円、Bランク15円、Cランク 14 円、Dランク13円とした。審議会において、使用者側は中小企業・小規模事業者を取り巻く環境の厳しさを繰り返し強調し、目安額の引き上げは慎重に行うべきと強く主張した。
     これに対し、労働者側は経済環境・雇用環境からすれば昨年を下回る目安金額を示す理由は見あたらず、当然に昨年を上回る目安額を示すべきであり、「生活できる水準」「仕事に見合った賃金としての適正水準」「C・Dランクの本来あるべき水準を加味した審議」について議論を深めるべきであると強く主張した。
     しかしながら、公益・使用者側とも賃金改定状況を中心においた議論にとどまり、深夜の一時中断を含む長時間にわたる交渉でも歩み寄りを見いだせない中で、労働者側は「公益見解を受け入れられない」と表明した。

  3.  このような、目安水準をめぐるわれわれ労働者側の主張そのものは変わるものではない。しかし一方で、全国で展開した街宣行動で寄せられた「生活が厳しい」「最低賃金を早期に上げてほしい」という足下の切迫した状況を踏まえ、10月1日に新水準での最低賃金を発効させることを優先すべきとの判断から、公益見解をもって大臣に対する答申とすることについて了解するに至った。

  4.  これから地方最低賃金審議会において地域別最低賃金額決定の審議が行われるが、労働者側は、地域の実情に応じた最低賃金額のあり様について審議を深めつつ、中央最低賃金審議会での議論経過と目安水準を十分に斟酌した審議を行い、早期に新地域別最低賃金が発効されるよう真摯に議論を行なっていく。

  5.  大きな課題となった「目安審議のあり方」については、今秋以降再開される予定の「目安制度に関する全員協議会」の中で議論を深めていくこととする。





以上