事務局長談話

 
2014年06月24日
政府の「経済財政運営と改革の基本方針2014」に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  6月24日、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2014(骨太の方針)」を閣議決定した。その内容は、もっぱら企業や投資家の目線に立ち、経済界の要望を中心に取りまとめたものであり、国民生活の底上げや将来不安の解消、雇用の安定と質の向上などはないがしろにしており、遺憾である。政府は、いまだ景気回復を実感できない多くの生活者・働く者の切実な声を真正面から受け止めるべきである。

  2.  基本方針では、経済再生の進展に向けて、「女性の活躍、教育再生を始めとする人材力の充実・発揮」など4つの重点課題を挙げている。この中で、女性の活躍を支える社会基盤の整備、若者・障がい者などの就労支援、非正規雇用労働者の処遇改善や正規雇用化促進、最低賃金の引上げ、子ども・子育て支援や子どもの貧困対策など、評価できる点は一部あるものの、いずれも具体性に乏しく実効性は期待できない。一方で、規制改革として、「多様で柔軟な働き方の実現」の名のもとに労働者保護ルールの改悪を盛り込むなど、政策全体としての整合性がない。

  3.  財政運営に関して、2015年度において国・地方を合わせた基礎的財政収支について 赤字の対GDP比半減(対2010年度比)という目標を確実に達成することが求められるとともに、2020年度の基礎的財政収支の黒字化に向けた具体的な道筋を早急に明らかにする必要がある。
     社会保障改革については、子ども・子育て支援の充実や子どもの貧困に関して、その実効性が求められる。医療・介護給付の効率化・適正化については、給付の質の低下につながりかねず、慎重に検討すべきである。年金については、さらなる短時間労働者の適用拡大などを直ちに検討し早急に結論を得るべきであるが、マクロ経済スライドなどについては問題がある。生活保護の水準の引き下げは、行うべきではない。政府は、社会保障の切り下げではなく、機能強化に向けて取り組みを進めるべきである。

  4.  2015年度予算編成に向けては、問題の多かった前年度予算を真摯に反省し、財政健全化に真剣に取り組む必要がある。加えて、基本方針は、年内に消費税率の10%への引上げについて判断を行うことや、来年度から法人税引下げを開始することを明らかにしている。政府は、社会保障と税の一体改革の推進、法人税引下げの目的や代替財源の確保などについて国民への説明責任を尽くす必要がある。

  5.  連合は、「2015年度 連合の重点政策」を取りまとめ、政府の「骨太の方針」などへの反映を求め、政府・政党への要請行動を進めてきた。政府には、政労使会議などを通じて働く者の代表が参加する場で議論を尽くし、国民生活の向上に真につながる政策への転換を強く求めていく。引き続き、「STOP THE 格差社会! 暮らしの底上げ実現」をめざし、すべての国民が将来に希望と安心を持てるような政策・制度の実現に全力で取り組む。


以上