2014年06月20日
「会社法の一部を改正する法律」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 6月20日、参議院本会議において「会社法の一部を改正する法律」(以下、改正会社法)が与党などの賛成多数で可決、成立した。法改正により、企業統治の強化や親子会社に関する規律の整備などが図られることは評価できる。しかし、参議院法務委員会において民主党が指摘した財産権の侵害の懸念があるとした法案の不備について、議論が尽くされることなく採決が強行されたことは残念である。
- 改正会社法の主な内容は、(1)社外取締役が過半数を占める「監査等委員会設置会社制度」の創設、(2)社外取締役・社外監査役の要件の厳格化、(3)会計監査人の選解任に関する議案内容の決定権を監査役に付与、(4)親会社の株主が子会社の役員の責任を追及できる「多重代表訴訟制度」の創設、などである。これらの見直しは、連合も委員として参加した法制審議会会社法制部会において全会一致で確認された法案要綱に基づくものであり、妥当な内容である。なお、民主党が求めた社外取締役の設置義務付けは見送られ、附則により法の施行から2年後に再検討されることとなった。
- 連合は、会社法の見直しに向けて民主党と連携するとともに、法制審議会会社法制部会では従業員選任監査役制度の創設や企業統治における従業員からの情報提供の重要性を主張した。これを受け、法案要綱に「監査を支える体制や監査役による使用人からの情報収集に関する体制に係る規定の充実・具体化を図る」との規定が省令で定める事項として盛り込まれた。
- 改正会社法の施行に際して、連合は、省令制定の動向を注視しながら必要な対応を行うとともに、労働組合として、企業における法令遵守の徹底はもとより、労働者をはじめとした多様な利害関係者の利益への配慮がなされる健全な企業統治の実現に向け、取り組みを進めていく。
以上