事務局長談話

 
2014年06月20日
特定秘密に関わる「国会法等の一部を改正する法律」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  6月20日、参議院本会議において特定秘密保護法の運用に対する国会監視機関を設置する「国会法等の一部を改正する法律」が自民、公明、維新、みんな、新党改革の賛成多数で可決・成立した(民主、社民、生活、共産は反対)。この改正により、衆参に常設の「情報監視審査会」が設置される。しかし、政府は、特定秘密の内容が「安全保障に著しく支障を及ぼす」場合、この審査会に対して特定秘密の提出を拒否できるため、国会の監視機関としては全く不十分である。衆参の委員会それぞれわずか7時間の審議のみで強行採決を行ったことは、極めて遺憾であり、与党の横暴と言わざるをえない。

  2.  国会法の改正による「情報監視審査会」は、8人の議員に正副議長をオブザーバーとして加えた「秘密会」として開催し、政府から特定秘密の運用状況などについて報告を受ける。審査会は、政府による秘密指定や適正評価が不適切と判断した場合、指定解除も勧告できるが強制力はない。また、40万件ともいわれる膨大な特定秘密情報を8人の議員のみでチェックすること自体に限界があり、実質的な監視は難しい。

  3.  連合は、これまで、成立した「特定秘密保護法」の問題点を指摘するとともに、その修正を求めてきた。また、国会法改正法案を第186通常国会の「最重点法案」として、民主党を通じてその修正を働きかけてきた。国権の最高機関たる国会に「監視機関」を設置することは、特定秘密保護法のチェック体制として重要であるが、改正国会法では、監視機関としての役割と機能が十分に果たせないため、恣意的に特定秘密に指定された情報に対処できない懸念が残っている。

  4.  改正国会法は、衆議院での審議において「施行後3年以内の検討」との言質をとったものの、「情報監視審査会」が「監視」の機能が発揮されているかチェックすることはできない。連合は、今後予定されている特定秘密に関する政令及び運用基準などについて、積極的に情報発信をおこなっていくとともに、構成組織・地方連合会などとの連携をはかりつつ、「特定秘密の恣意的な運用」が行われないよう、引き続き取り組みを進めていく。


以上