事務局長談話

 
2014年06月18日
「医療介護一括法」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  6月18日、参議院本会議において、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」(医療介護一括法)が自民、公明の賛成多数で可決、成立した。医療分野においては、一部評価できる部分があるものの、連合が問題点を指摘し続けた介護予防給付の一部を市町村事業へ移行することについて、修正されなかったことは遺憾である。また、一括法案は、19本もの多岐にわたる法律を束ねたものである上、衆議院では強行採決がされるなど、審議は拙速であったと指摘せざるを得ない。

  2.  今回の改正に際して、連合は、それぞれ審議会段階から意見反映に努め、国会対応を進めてきた。医療法関係については、医療機関の機能分化と連携強化、介護との連携、人材確保や医療安全の向上をはかるものとなっており、評価できる。今後、取り組みの実効性を確保するため、都道府県における検討・実施体制の強化や、被保険者や地域住民の意見の反映とともに、着実な実行が求められる。連合は、保険者団体と連携し、地方連合会とともに取り組みを進めていく。
     なお、医療事故調査制度については、第三者機関への遺族の調査申立ができないこと、調査対象が死亡・死産に限定されたことなど、課題が残された。

  3.  また、介護保険法改正について、連合は現行の介護予防給付の維持を求め、国会対応を進めてきたが、介護予防給付の一部を市町村事業に移行することとなった。これは、社会保険制度の原理を逸脱すること、サービス水準の低下や、市町村間のサービスに格差が拡大するなどにつながり、問題があるといわざるを得ない。
     今後は、サービス提供の質の確保や介護職員の処遇低下とならないよう、ガイドラインの策定に向けて、対策を進めていく必要がある。
     加えて、介護職員の人材確保や地域包括ケアシステムの核となる地域包括支援センターの人員・財源の強化が図られなければならない。

  4.  連合は、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向け、医療・介護などが連携した地域包括ケアシステムの構築を目指し、構成組織、地方連合会と連携を強め、附帯決議に盛り込まれた内容の確実な実現を求めて、引き続き政府への働きかけを進めていく。


以上