事務局長談話

 
2014年06月06日
「改正行政不服審査法」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  6月6日、参議院本会議において「改正行政不服審査法」が共産党を除く与野党の賛成多数で可決、成立した。行政不服審査制度における「公正性の向上」、「使いやすさの向上」、「国民の救済手段の充実・拡大」という観点から見直しが行われており、一部に課題は残ったものの、概ね評価できる内容である。

  2.  行政不服審査法は、1962年に制定され、その後、様々な課題に対する指摘がなされたが、実質的な見直しがなされてこなかった。今般の改正では、i)不服申立て手続の一元化による手続保障の充実、ii)国民の裁判を受ける権利を保障する不服申立前置の見直し、iii)審査請求人による書類等の閲覧・謄写など連合が求めてきた見直しが概ね盛り込まれており、簡易・迅速かつ公正な手続きによる国民の権利利益の救済に向けて前進がはかられた。

  3.  一方で、新たに設置される審理員制度は、当該処分に関与した当事者ではない職員が審理を行うという点で一定の効果が期待できるものの、関係省庁から職員が指名される点では、公正性の確保が不十分との指摘がある。また、審査庁の採決の妥当性を点検する第三者機関としての行政不服審査会についても、真に独立性・公正性を確保するためには国会同意人事とすることを基本とする必要がある。これらについては、参議院での附帯決議に、両制度の運用にあたっては、権利利益救済の実効性を担保する観点からの適切な人材を選任する旨が盛り込まれた。

  4.  連合は、行政不服審査法の見直しを最も身近で基本的な行政改革の一つと位置付け、2008年の国会審議以降、制度本来の目的が十分に達成される見直しが行われるよう取り組みを進めてきた。今後は、附帯決議を踏まえつつ、高いレベルで公正性や独立性が確保されることを強く求めるとともに、制度改正の趣旨に沿った運用がなされるよう注視していく。


以上