2014年04月07日
「建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置」等、外国人材活用のあり方に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 4月4日、政府は、建設業での人材不足に対応するための時限的措置として、建設分野の外国人技能実習修了者が最大2年以内で引きつづき建設業務に従事すること等を認める旨を決定した。わが国の建設労働者の処遇改善策をはじめとする根本的な国内人材確保策をまず講じるべきであるにもかかわらず、そうした課題克服を先送りにし、労働法令の保護が十分に及んでいない技能実習生を実質的な低賃金労働者としてさらに活用する方針を拙速に決定した政府の姿勢には問題がある。
- わが国の建設労働者の処遇の厳しさ(全産業・全従業員の平均年収472万円に対し建設業・男性では392万円 2012年厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)に鑑みれば、政府は、処遇や労働環境の改善等によって建設業を魅力ある職業とするための施策を早急に実施すべきである。また、外国人技能実習制度は開発途上国の経済発展を担う人材の育成を趣旨とするものである以上、実習を修了した技能実習生は母国へ帰国し、母国に貢献することが本来の姿であり、わが国の労働力として便利に活用することは本旨と異なる。
- なお、同日開催された経済財政諮問会議・産業競争力会議合同会議では、外国人材活用を重要な成長戦略として位置づけることが重要であり早期に検討すべきとの提案がなされている。具体的には、建設業以外にも人材不足が顕在化している農林水産業や製造業、家事支援サービス分野等において労働者として外国人を受け入れることを喫緊の課題として議論すべきとしている。しかし、人材不足を理由に低賃金の外国人材を安易に受け入れた場合、国内労働市場等に悪影響が生じることから慎重な議論が必要である。
- 外国人労働者の受け入れにあたっては、成長戦略といった産業競争力強化の観点からだけでなく、わが国の今後の雇用・労働のあり方や外国人労働者の保護といった観点も含め、社会的なコンセンサス等を得るべく、国民的な多角的論議を行うことが不可欠である。連合は、外国人労働者の受け入れや外国人技能実習制度の見直しに関する政府内の議論動向を注視するとともに、こうした観点から審議会等での対応を行っていく。
以上