事務局長談話

 
2014年03月28日
「改正雇用保険法」の成立に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  3月28日、参議院本会議において「雇用保険法の一部を改正する法律案」が賛成多数で可決、成立した。雇用保険制度の充実・強化がはかられたという点では評価できるが、雇用保険制度が担うべき雇用労働者のセーフティネットという点では課題の残る内容である。

  2.  改正法の主な内容は、[1]育児休業給付について、休業開始後6ヶ月間の給付率を休業開始前の賃金の67%(現行50%)に引き上げる、[2] 教育訓練給付を拡充し、中長期的なキャリア形成を支援するため、専門的・実践的な教育訓練を受ける場合の給付を引き上げる、[3]早期に再就職した場合に支給される再就職手当について、離職前賃金と比べて再就職後の賃金が低下した場合に、6ヶ月間の職場定着を条件に、低下した賃金の6ヶ月分を追加的に給付する、等である。

  3.  離職・求職者が安心して求職活動を行うためには、失業時の所得補償の充実や早期再就職への支援など、雇用保険制度のセーフティネット機能の強化が重要である。連合はこうした認識の下、労働政策審議会への対応に加え、政府・政党への働きかけを通じて法改正に積極的に関与してきた。今回、併せて採択された附帯決議には盛り込まれたものの、連合が強く求めてきた2000年および2003年の法改正により引き下げられた離職・求職者に対する基本手当(所定給付日数、給付率)の改善や、現在暫定的に引き下げられている国庫負担の法律本則への復帰に向けた道筋は見えない。

  4.  教育訓練給付の拡充については、「一般会計によっても支援すべき」との雇用保険部会報告における労使の意見は反映されず、全額雇用保険料で賄うこととされた。本措置は本年10月より施行されるが、特に非正規労働者のキャリアアップや早期再就職に資するものとなるよう、対象となる専門的・実践的訓練の指定基準に関する検討を急ぐべきである。また、ユニバーサルサービスとして教育訓練が提供されるよう、キャリア・コンサルタントの養成・確保や不正受給を防止するチェック機能の強化も含め、施行体制を早急に整備すべきである。

  5.  雇用保険制度のセーフティネット機能の強化と国庫負担の法律本則への早期復帰に向けて、連合は、引き続き政府・政党への働きかけを強め、すべての働く者が安心できる社会を実現していく。


以上