2014年02月14日
労働政策審議会部会報告「有期労働契約の無期転換ルールの特例等について」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神津 里季生
- 本日、労働政策審議会 労働条件分科会有期雇用特別部会 及び 職業安定分科会高年齢者有期雇用特別部会(両部会とも部会長:岩村正彦東京大学大学院法学政治学研究科教授)は、労働契約法第18条の無期転換ルールに特例を創設すること等に関する報告書を取りまとめた。報告書は、昨年4月に施行された有期労働契約の無期転換ルールについて、高度専門労働者や定年退職労働者については無期転換申込権が発生するまでの期間を行政の関与の下に本来の「5年超」から延長するよう求めている。民事上の基本ルールである労働契約法の適用のあり方が、行政の関与の下に一部労働者について修正されることには問題がある。
- 報告書は、(1)「一定の期間内に完了する業務に従事する高収入かつ高度な専門的知識等を有する有期契約労働者(高度専門労働者)」及び「定年後引き続いて雇用される有期契約労働者」について労働契約法第18条の無期転換申込権発生までの期間(5年超)に関する特例を設けること、(2)特例適用にあたって事業主は適切な雇用管理を実施することについて厚生労働大臣の認定を受けること、(3)無期転換申込権が発生する直前の雇い止めを防止するため積極的な厚生労働行政上の取り組みを進めること、等を主な内容としている。
- 連合は、雇用安定のための無期転換ルールを一部の労働者について見直そうとする動きに対し、雇止めの不安の中で働く有期契約労働者の雇用の安定を後退させるものであり、また、すべての労働者に等しく適用されるべき民事ルールのあり方に照らして許されないと強く反対してきた。また、民事ルールの適用にあたって行政庁が関与する仕組みとすることにも慎重であるべきこと等を主張してきた。しかし、こうした連合の主張を受け入れず、十分な審議時間もとることなく昨年末以降わずか5回の審議を行うだけで今回の報告書が取りまとめられたことは、極めて遺憾である。
- 今後、報告書に基づき法律案要綱の審議が行われ、今通常国会に所要の法案が提出される見込みである。連合は、構成組織・地方連合会と一体となった取り組みを進め、今回の特例が有期労働契約の濫用的な利用を抑止するとともに有期契約労働者の雇用安定を図る無期転換ルールの趣旨を損なうものとならないよう、国会審議等への対応を行っていく。また、無期転換申込権が発生する直前での雇い止めを防止するため、実効性ある対応を求めていく。
以上