事務局長談話

 
2013年12月07日
国家戦略特別区域法案の成立に関する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  国家戦略特別区域法案が12月7日、参議院本会議で可決、成立した。雇用については、特区内において個別労働関係紛争の未然防止のための援助を行うことが決まった。この点については、同法が、「産業の国際競争力の強化と国際的な経済活動拠点の形成に寄与するもの」としていることとの関係から疑念をさしはさまざるを得ない。特区の具体的な制度設計にあたっては、労働者保護やくらしの安全・安心が脅かされることがないよう十分配意すべきである。

  2.  雇用分野においては、国が、個別労働関係紛争の未然防止等のため、判例を分析・分類して作成する「雇用指針」を踏まえて、事業主に対し情報の提供、相談、助言その他の援助を行うこととなっている。その際は、都道府県労働局との二重行政になってはならないことはもとより、労働局との食い違いが生じない運用を行うことや、相談・助言等が、企業が企図する解雇に対して準司法機関的に実質的な可否判断を示すものとならないように運営することを強く求める。

  3.  また、一定の要件を満たした労働者に対し無期転換申込権発生までの期間(現行「5年超」)を見直すなどの「有期雇用の特例」を検討し、来年の通常国会に法案を提出するよう政府に求める規定が盛り込まれた。これは特区ではなく全国制度としての検討を求めるものであり、こうした規定を特区法に盛り込むこと自体、法の趣旨に照らして全く理解できない。本年4月に施行されたばかりの無期転換の仕組みによる雇用の安定を後退させてはならず、連合は労働政策審議会でそのことを強く主張していく。

  4.  なお、医療分野においては、医療計画における病床規制の例外として、国内で十分に普及していない、世界最高水準の高度の医療を提供する者が、必要な病床や病院の開設の許可の申請等があった場合は、都道府県は基準病床を許可できるとしている。しかし、日本の病床数は過剰となっており、病床数の増加は医療費の高騰を招くこととなり問題である。この制度が安易に運用されないよう、取り組みを進めていく。

  5.  政府の諸会議は、解雇規制や労働時間規制、限定正社員の雇用ルールのあり方等に関する論議を継続しており、労働者保護ルール改悪への動きを一向に止めていない。連合は、今後も、構成組織・地方連合会と一体となって、労働者保護ルール改悪の阻止に向けた社会的運動を全力で展開し、「働くことを軸とする安心社会」の実現を目指した取り組みをこれまで以上に強力に進めていく。


以上