事務局長談話

 
2013年11月22日
公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議「報告書」とりまとめに対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 神津 里季生

  1.  2013年11月20日、内閣官房「公的・準公的資金の運用・リスク管理等の高度化等に関する有識者会議」(以下、「有識者会議」)は「報告書」をとりまとめた。本有識者会議は「日本再興戦略」にもとづいて経済再生担当大臣の下に設置された会議であり、公的年金や独立行政法人等の公的・準公的の資金運用のあり方について、いかに日本経済への貢献に資するかを主眼に議論が進められてきた。したがって、「報告書」は全体としてリスク性資産割合を高める内容が中心となっており、問題がある。

  2.  具体的に「報告書」では、公的年金の場合は、厚生年金保険法等の目的に沿った運用に留意する必要があること、ポートフォリオを見直す場合は財政検証の結果を踏まえることなどは記載されているものの、[1]国内債券を中心とするポートフォリオの見直し、[2]運用対象の多様化(不動産等分散投資の促進)、[3]アクティブ比率の向上-などリスクの高い方向性が示されている。一方で、その管理運用主体である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)について、労使を含むステークホルダーによる合議制機関(理事会)を設置するなどの改革の方向性や、資金運用にあたってESG(環境、社会、ガバナンス)を考慮することが示されている点は評価し得る。

  3.  連合は、[1]保険料拠出者の意思が明確に反映されるガバナンスの構築を主眼に置くこと、[2]経済成長のために年金積立金を活用するとの考えは不適切であること、[3]引き続き長期的な観点から安全な運用を行うこと、[4]財政検証の結果を踏まえた必要な運用利回りを確保することが大前提であり、収益の最大化ありきではないこと、[5]国連責任投資原則に則り、非財務的要素であるESGを考慮すること-等を指摘してきた。特に[3]については、年金積立金が棄損した場合は事実上、被保険者・受給者が被害を被ることになる。「報告書」には、これらの基本的な考え方について盛り込まれず、重大な懸念がある。

  4.  今後、「報告書」を受けて厚生労働省をはじめとする各資金の所管省は具体的な改革に着手することになる。公的年金の場合、専ら厚生年金保険の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うとの根拠法の目的や、財政検証の仕組み、積立金が厚生年金保険の被保険者から徴収された保険料の一部であることの前提は変わらない。連合は、保険料を拠出している労働者の代表として、「年金積立金はだれのもの?」を合言葉に今後もこれらと整合性のある運用が行われるよう、また、労使が参画するGPIFのガバナンスが確立されるよう、国民的な論議を喚起する取り組みを展開しつつ、年金関連の審議会等への対応や政府・政党への働きかけを行っていく。


以上