事務局長談話

 
2013年08月02日
麻生副総理による憲法改正を巡る発言に対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 南雲 弘行

  1.  麻生太郎副総理が7月29日に東京都内で開催されたシンポジウムにおいて、憲法改正を巡ってナチス政権を引き合いに出して「憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね。ワーワー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。」などと発言した旨が報道された。この発言は極めて問題であると言わざるをえない。

  2.  そもそも民主主義体制下においては、憲法を制定し、改正する究極の力は国民に由来するものである。このことは、日本国憲法がその前文において「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」と規定し、また憲法第96条第1項前段が「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。」と規定していることからも明らかである。

  3.  憲法改正の是非を巡っては様々な見解があるが、積極・消極いずれの立場に立脚するにせよ、憲法論議は幅広い国民的議論のもとにあるべきであって、麻生副総理の発言にあるように「ある日気づいたら」憲法が変わっているようなことがあってはならない。今次の麻生副総理の発言は、立憲民主主義体制をその根底において否定する看過しがたいものである。

  4.  加えて、麻生副総理の発言は国際的にも波紋を引き起こした。既に米国のユダヤ人人権団体が批判声明を発するなど、海外では我が国の副総理の要職にある者がナチスの行為を肯定的に評価したと受け止められており、我が国の国際的立場に与えた悪影響も無視できない。

  5.  8月1日、麻生副総理は「ナチス及びワイマール憲法に係る経緯について、極めて否定的にとらえていることは、私の発言全体から明らかである。」とした上で、「ナチス政権を例示としてあげたことは撤回したい。」とのコメントを発表したが、麻生副総理の発言は、憲法の基本原理との関係で大きな問題をはらむものである。既に野党からは麻生副総理の発言を批判するコメントが発せられているが、国会でその真意を究明し、国民主権の意義が改めて確認されなければならない。


以上