事務局長談話

 
2013年01月25日
社会保障審議会・生活保護基準部会および生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の両報告書とりまとめに対する談話
日本労働組合総連合会 事務局長 南雲 弘行

  1.  厚生労働省社会保障審議会の生活保護基準部会は18日、現状の保護基準と消費水準の検証についての報告書をとりまとめた。最低生活水準のあり方そのものについての議論が尽くされていない中で、低所得層(年間収入を高い順から並べた下位10%)の消費水準との比較が行われたものであり、消費実態に与える要因の分析には困難があることから、保護基準の検証としては限界があると言わざるを得ない。
     また、同審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会は23日、新たな生活困窮者のための支援制度の創設を提起する報告書をとりまとめた。生活、就労、健康など複合的な課題を抱え、社会的に孤立し苦しんでいる困窮者の存在が、地域を問わず幅広い年齢層で指摘されている中、包括的・個別的な支援制度の創設が提言されたことを評価する。

  2.  生活保護基準部会の報告書からは、世帯構成員の年齢、世帯人員、地域を考慮した場合では、これらの条件によって生活保護費と消費水準の間に様々な差が生じていることが明らかになった。そのもと、多人数世帯では生活保護費よりも消費水準の方が低いが、60歳以上単身世帯では保護費が消費水準よりも4.5%低いことが明らかになった。生活保護基準の見直しの影響は、地方税非課税基準、社会保険料、就学援助、保育料などを通じて被保護者にとどまることなく影響を及ぼすため、現行の水準を尊重すべきである。報告書も指摘しているように、一般低所得世帯に対する影響への十分な配慮が必要であり、「貧困の連鎖」を防止しなければならない。

  3.  一方、生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の報告書では、生活保護に至る前段の経済的困窮者を中心に、相談・就労・居住・家計相談・健康面の支援、多様な就労機会の提供等を行う制度の創設を提起している。生活保護の医療費の自己負担の導入や後発薬の使用義務づけが報告書で見送られたことは適切と考える。
     非正規労働者など稼働層、若者、子どもを含め様々な生活困窮者が必要な支援を受けつつ自立していくには、生活支援の実施体制の確立が全国ではかられる必要があり、国は財源確保を含め役割を果たすべきである。また、「中間的就労」が「劣悪な安上がり就労」を生み出さないよう、行政の関与や透明性の確保が不可欠である。

  4.  連合は、「働くことを軸とする安心社会」づくりに向け、社会保険・雇用保険と生活保護に加えて、求職者支援制度やパーソナル・サポート、住宅などの支援、皆保険による医療保障から成る重層的な社会的セーフティネットの構築を提言している。今後、生活保護の見直しと新たな支援制度の具体化にあたっては、連合の提言が実現されるよう、引き続き政府ならびに国会に対し強く求めていく。


以上