事務局長談話

 
2011年08月05日
年金確保支援法案成立に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  8月4日、衆議院本会議において、「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」(年金確保支援法案)が賛成多数で可決、成立した。本法律は、国民の高齢期における所得の確保を支援するため、徴収時効の過ぎた国民年金保険料の納付を可能とするとともに、企業型確定拠出年金の加入者が自ら掛金を拠出できる制度導入等を図るものである。国民年金保険料の納付期間の延長については、「3年間の時限措置」とはいえ、無年金・低年金を防止する観点から、一定の評価ができる。

  2.  今後保険料を払い続けても年金受給資格要件の25年に満たない無年金者が118万人程度発生する見込みのなか、国民年金保険料の事後納付期間を2年から10年に延長することで、できるだけ無年金・低年金者がなくなることを期待する。一方、政府案では10年延長は恒久措置の取扱いだったが、モラルハザードを理由に野党の反対を受け、「3年間」の時限措置とする修正が昨年末の臨時国会で加えられている。このため、国民への周知を徹底し、「3年間」のうちに未納者が保険料を納付できる積極的な施策が必要である。また、低所得者に対する保険料免除制度の周知・勧奨のほか、保険料徴収対策等の徹底も、必要である。

  3.  企業型確定拠出年金については、加入者(従業員)が自ら掛金を拠出できる、いわゆる「マッチング拠出」が可能となり、当該掛金も税制上の所得控除の対象となる。この「マッチング拠出」は、労使合意が前提とはいえ、果たして真に労働者のために導入されたものかは疑問がある。わが国の企業年金は退職金が原資であり「賃金の後払い」であるから、退職金(後払い賃金)に従業員が自ら拠出することが馴染むのかどうか。また、従業員への継続的な投資教育が十分に実施されていない現状では、一層運用リスクを助長させるおそれがある。さらには、企業拠出分と本人拠出分の「区分管理」の明確化も今後の大きな課題である。

  4.  本法律は、第174回国会(2010年3月)に提出された以降、成立までに1年4ヶ月を費やした。この背景には参議院の与野党逆転や政府案への野党の反対などがあったが、尤も政府・与党が本腰を入れて国民皆年金の達成について取り組む姿勢が十分ではなかったと受け止めざるを得ない。政府・与党の「社会保障と税の一体改革成案」を受けて、8月中にも「年金部会」や「短時間労働者等への社会保険適用拡大に関する特別部会」が開催される予定である。連合は、こうした議論への参加を通じて、原則すべての雇用労働者への社会保険適用および基礎年金の税方式化等による最低保障機能の強化など、真の国民皆年金の実現に向けた取り組みを進めていく。


以上