事務局長談話

 
2011年07月01日
政府・与党の「社会保障と税の一体改革成案」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  政府・与党社会保障改革検討本部(本部長:菅首相)は「社会保障と税一体改革成案」を6月30日に決定し、本日の閣議に報告した。社会保障改革の基本的考え方では、「3つの理念(参加保障、普遍主義、安心に基づく活力)」と「5つの原則(全世代対応、包括的支援等)」に基づく「中規模・高機能な社会保障」を実現するとしている。優先課題の第1に「子ども・子育て支援、若者雇用対策」、横断的課題としては「貧困・格差対策」(重層的なセーフティネットの構築)を掲げている。この社会保障の安定財源確保に向け、消費税率を「2010年半ばまでに段階的に10%まで引き上げる」としている。政権交代後、政府・与党として、はじめて社会保障全体の改革理念と安定財源確保の具体的な方向性を示したことは評価できる。

  2.  社会保障の機能強化では、「子ども・子育て新システムの制度実施による保育等の量的拡大、幼保一体化」、年金制度の「最低保障機能の強化」や短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大、産休期間中の保険料免除などが盛り込まれた。貧困・格差対策としては、「就労・生活支援のワンストップサービス」、求職者支援制度の創設やパーソナルサポートなど「第2のセーフティネットの構築」が明示されている。
     なお、「重点化・効率化」の具体例として示されている医療費の定額窓口負担(外来1回100円)などは、低所得層に配慮した慎重な検討が必要である。さらに、年金支給開始年齢の65歳までの引き上げスケジュールの前倒や、68~70歳までの引き上げも検討課題とされている。しかし、希望者が全員65歳まで働ける環境整備が前提であり、65歳までの雇用確保も不十分な中での検討は不適切である。

  3.  社会保障の機能強化にかかる追加費用は、2015年度に2.7兆円程度と試算されている。これを賄う安定財源として、消費税率(国・地方)を10%まで段階的に引き上げ、「社会保障目的税化」し、高齢3経費(年金・医療・介護)に加え、「少子化対策の費用」に当てるとしている。税制改革では、格差是正や所得再分配機能の回復、給付つき税額控除などの所得税改革、資産分配機能の回復のため相続税等の強化、消費税の逆進性対策としては給付による対応などが、盛り込まれている。これらは、連合の「新21世紀社会保障ビジョン」「第3次税制改革基本大綱」で特に指摘している内容でもある。

  4.  今回の政府・与党「一体改革成案」は、2015年以降の目指すべき社会保障改革の全体像と実現プロセスが必ずしも明確でないという課題がある。今後、与野党協議をはじめ国民対話を通じ、政治への信頼を回復させ、より充実した具体的な改革案として国民合意をはかる必要がある。そのため、連合は、「新21世紀社会保障ビジョン」と「第3次税制改革基本大綱」で掲げた社会保障と税の一体改革の実現を目指し、国民対話等に積極的に取り組むとともに、国民合意に向けた積極的な社会的役割を果たしていく。


以上