事務局長談話

 
2011年05月23日
米国による新型核性能実験の実施に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  5月22日、報道によれば、米国は昨年11月と本年3月に、ニューメキシコ州の研究所において新たな形で臨界を伴わない新たな核実験を成功させていたことが判明した。この核実験は、核爆発を伴わない点では臨界前核実験と同様である。臨界前核実験は判明しているだけでも2006年8月以来26回を数え、オバマ政権下では、今回の実験で3度実施したことになる。唯一の被爆国の市民として核兵器のない世界の実現に取り組んできた連合としては、極めて遺憾であり、かつ、実施から数ヶ月を経過して初めて判明したことに強い不信感を抱かざるを得ない。連合はいかなる核実験も許すことはできず、強く抗議する。

  2.  米国エネルギー省は、今回の実験は、地下実験場および高性能火薬の爆発を伴わず、核兵器が爆発したときに近い超高温、超高圧の状態をつくり、プルトニウムの反応を調べるものであり、「核兵器の安全性・有効性を維持する」ためのものとして、意義を強調している。しかしながら、いかなる理由があろうとも、人類を殺し尽くす核兵器の実験に違いはなく、「使える兵器」をつくる核実験を許してはならない。

  3.  2009年4月、オバマ大統領はプラハにおいて「核兵器のない世界に向けて具体的な措置をとる」演説を行い、米ロの戦略核兵器削減の合意は、世界中で核兵器廃絶に向けた第一歩であると評価され、平和への期待が高まった。加えて2009年ノーベル平和賞は、「国際協調外交を推進した功績」で、特に核兵器の全廃に向け外交交渉を開始したことを評価し、オバマ大統領に授与された。
     また、2010年5月には、ニューヨークで開催されたNPT(核拡散防止条約)再検討会議は、「核兵器なき世界」に向けた最終文書を全会一致で採択している。

  4.  今回の実験は、この間のこうした平和の流れに逆行しており、CTBT(包括的核拡散禁止条約)の空洞化につながる。また、オバマ政権は、核軍縮に積極的な一方、核兵器が存在する限り核戦力を維持する方針を明確にし、「核兵器の信頼性を維持するため」として、臨界前核実験を継続するとしている。このことは世界平和を求める国際世論に対する重大な挑戦であると言わざるを得ない。長崎、広島両市長は、この新たな性能実験に対して、不信感を表明している。

  5.  連合は、米国がCTBTの理念に立ち返り、未だ発効要件の批准国数を満たしていない同条約の発効に向けた批准促進に努力すること、核兵器廃絶を求める世界中の声に真摯に耳を傾け、臨界前核実験をはじめすべての核実験を即時中止するよう、引き続き取り組みを進めていく。


以上