事務局長談話

 
2010年12月21日
「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  厚生労働省の高齢者医療制度改革会議は12月20日、「高齢者のための新たな医療制度等について(最終とりまとめ)」を確認した。本とりまとめでは「後期高齢者医療制度を廃止する」ことが明記されたものの、公費投入増の明確な担保がなく、現役の保険料に多くを依存する仕組みは現状と変わらない。超高齢社会での安定的な制度運営と皆保険制度の維持ができるのか、大きな課題を残したことは残念である。

  2.  本とりまとめでは、多くの高齢者が加入することとなる国民健康保険は2013年度には75歳以上についてのみ財政運営を都道府県単位で行うとされ、全年齢の都道府県単位化の目標は2018年度とされた。低所得世帯と無職世帯が大半を占めて財政的に困難な状況にある国民健康保険の安定的な運営のためには、広域化は避けられず、具体的なスケジュールの法定化を提案した意義は大きい。

  3.  「都道府県単位の財政運営」の運営主体となる「保険者」については、具体的な記述は行われず、「『都道府県』と『市町村』が共同運営する仕組み」が提起された。しかし、都道府県単位での財政運営については、全国知事会から最後まで反対意見が出されており、今後、法案化に向けて国と地方の協議の場がもたれることとなった。医療費の適正化に対する保険者機能は今以上に重要であり、都道府県と市町村双方が責任を果たす仕組みのあり方を具体的に詰めていく必要がある。

  4.  公費については、連合など被用者保険関係委員をはじめ多くの委員が大幅な投入を強く主張したが、公費50%の対象年齢は現行の75歳のままとされ、現在の実質47%公費負担を50%に引き上げることだけが明記された。しかし、超高齢化と不安定雇用・低賃金の非正規労働者が増大する中、皆保険制度を維持するには、大幅な公費投入が不可欠であるのは明白である。

  5.  政府は「政府・与党社会保障改革検討本部」において、社会保障の安定・強化のための具体的な制度改革案と必要財源について2011年半ばまでに成案を得るとしており、その上で超党派による常設の会議の設置など幅広い関係者の参加を提起している。国民皆年金・皆保険制度が確立して50年目を迎える節目にあたり、政府として、社会保障制度とその財源確保をはかる税制との一体改革についてのグランドデザインを早急に示すべきである。

  6.  連合は、引き続き被用者保険関係団体との連携をはかり、皆保険制度維持のための公費投入増の実現、当事者自治に基づく保険者機能を発揮するため職域保険と地域保険の堅持・共存の取り組みを進めていく。また、連合としても財源対策を含めた社会保障改革のトータルビジョンの策定を進め、その実現をめざす。


以上