事務局長談話

 
2010年08月23日
「高齢者のための新たな医療制度等について(中間とりまとめ)」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  厚生労働省の高齢者医療制度改革会議は8月23日、「高齢者のための新たな医療制度等について(中間とりまとめ)」を公表した。被用者を除くすべての高齢者を国民健康保険に加入させる内容で、連合が提案している、被用者グループ全体で退職者の医療を支える「退職者健康保険制度」(突き抜け方式)の案は採用されていない。そのため、生涯を通じた保健・予防事業など保険者機能の発揮、被用者保険を含めた「皆保険」の持続可能性の面で懸念がある。

  2.  高齢化等により医療費は確実に増加する中、医療の質を確保しつつ、不必要な支出を抑制し、医療費の適正化を図るために、厳格なレセプトチェックや健康管理などの面で強力な保険者機能の発揮が期待されている。同質性の高い保険集団として当事者自治を発揮するには、職域保険、地域保険の二本立ての医療保険制度で皆保険を達成すべきである。

  3.  しかし、「中間とりまとめ」では、国民健康保険は、現役世代から高齢者を含めた大きな保険集団となる。しかも、全年齢の広域化が達成されるまでの間、都道府県を財政単位とする高齢者向け国保と市町村を財政単位とする現役向け国保が「併存」する地域がでることが想定されている。「地域の総合力で運営する仕組み」が提起されているが、「総合力」の名の下に責任があいまいになるようなことがあってはならない。

  4.  また、負担については、高齢者の保険料を給付費の1割にとどめ、高齢者の保険料の伸びを現役世代の伸びを上回らないよう抑制し、各保険者の負担が大幅に増加しないようにするなど、各方面への配慮がされている。一方、公費については「効果的な投入を図りつつ、充実させていくことが必要」と明記されているにとどまっている。現役世代の保険料負担の推移と公費の財源確保の可能性を国民に示した上で、さらなる検討が必要である。

  5.  連合は、同会議を通じ、退職者が被用者保険に加入し続けることが可能となるよう提起してきたが、退職者を加入させている特定健保のあり方や、国保の被保険者世帯の1/4を占めている雇用労働者への社会保険の適用については、十分な議論が行われていないままである。連合は、被用者保険グループが退職者の医療を支える「突き抜け方式」の理念が「最終とりまとめ」に生かされるよう、構成組織・地方連合会への理解促進、被用者保険団体との連携をはかりつつ、高齢者医療制度改革会議の場などで引き続き意見反映に努めていく。


以上