事務局長談話

 
2010年02月15日
2010年度診療報酬改定に関する中医協答申についての談話
日本労働組合総連合会
事務局長 南雲 弘行

  1.  中央社会保険医療協議会(中医協)が2月12日の総会で、2010年度診療報酬改定について答申書をまとめ、足立厚生労働大臣政務官に手交した。2000年度改定以来10年ぶりのプラス改定となったが、改定率0.19%という財源の制約の中で、再診料の病院・診療所間の統一や、救急、周産期等に対する重点評価、勤務医の負担軽減、患者の支払いに対する医療機関への「明細書」発行の原則義務化などが盛り込まれるなど、安心の医療の確保に向けた重点化が行われたことを評価する。

  2.  答申では、公益委員による裁定で、再診料について病院を引き上げると同時に、診療所を引き下げ、690円で統一することとされ、これにより医療費の「一物一価」の原則が実現される。また、勤務医の負担軽減策を含め救急等の地域での担い手である病院を評価するものとして、「医療崩壊」の食い止めにも期待がかかる。しかし、外来管理加算については現行点数(520円)を維持しつつ「5分ルール」を廃止し、別途要件を追加することとされたが、いわゆる「お薬受診」の解消に寄与するか懸念が残る。

  3.  連合が強く求めてきた「明細書」の発行は、患者自身が自らの受けた医療の内容を確認するための当然の手段である。医療の透明化に大きく寄与するものであり、過剰診療や診療報酬の不正請求、薬害などを未然に防ぐことが期待される。また、新たに導入されることとなった「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」については、未承認薬・適応外薬の開発促進につながるよう、算定ルールの明確化と決定の透明化が必要である。なお、看護師の夜間勤務要件を緩和する7対1等特別入院基本料の導入については、公益裁定により1年1回限りと条件付けがされたが、看護師配置基準の趣旨をゆがめるものであり、看護師の夜勤増や人材確保への影響、患者の安心への懸念が残る。

  4.  今次改定は厳しい審議日程のため、多くの検証・検討課題が残り、結果として、多くの項目が付帯意見に盛り込まれた。2012年度の診療報酬と介護報酬との同時改定、新たな高齢者医療制度との調整、看護職員の負担軽減と処遇改善、DPCの評価方法の検討、地域特性と診療報酬のあり方など、課題は山積している。中医協では次々期改定に向けて、今回導入・評価・適正化された項目を中心に十分な検証を順次行うとともに、背景資料やデータなどの根拠に基づく議論を早期に開始すべきである。また、「明細書」の発行義務が骨抜きにならないよう、実施状況を注視していく必要がある。連合は、患者、被保険者、医療関係労働者の声を集約し、安心の医療の実現に向け中医協内外で活動を進めていく。


以上