2026年07月17日
刑事訴訟法の一部を改正する法律の成立に対する談話
1.運用によっては冤罪被害者の救済が後退しかねず懸念が残る
7月17日、参議院本会議において刑事訴訟法の一部を改正する法律(以下、改正法)が可決・成立した。改正法は、再審開始決定などに対する検察官の不服申立てを原則禁止とした一方で例外規定が設けられた。また、国会審議において問題視された「検察官が保管する証拠の一覧表に関する制度」や「証拠の目的外使用の禁止に関する制度」は5年ごとの見直し検討対象として例示されるに留まった。運用によっては、改正目的である冤罪被害者の確実かつ速やかな救済どころか、かえって後退しかねず、懸念が残る。
2.検察官による不服申立てを行う際は検証可能な具体的な根拠を公表すべき
改正法は、再審開始決定などに対する検察官の不服申立てを原則禁止とした一方で、例外として「十分な根拠」がある場合には不服申立てを行うことができることとした。不服申立ては、冤罪被害者救済に長期間を要する大きな要因と指摘されている。検察官は、この事実を重く受け止め、「十分な根拠」があるか否かを判断するにあたっては、不服申立てはあくまで原則禁止であることを踏まえ、慎重かつ十分に検討するとともに、公表する理由についても検証可能な具体的な根拠を明示すべきである。
3.関連性を広く解釈し証拠の提出・開示をこれまで以上に行うべき
改正により証拠の提出命令制度が創設され、裁判所は検察官に対し、再審の請求理由に関連すると認められる証拠の提出を命じなければならないこととされた。過去の再審事例において審判開始・再審無罪に直結した証拠の多くが裁判所不提出であったことを十分に考慮し、また国会審議において政府が繰り返し答弁した通り、裁判所は証拠の関連性を広く解釈して提出を命じ、検察官もこれに応じなければならない。あわせて、裁判所による勧告がなされた場合などには、検察官は証拠の一覧表を含め、任意での提出・開示をこれまで以上に行うべきである。これらは、再審手続きが非常救済手続きとして適切に機能するために不可欠であることから、裁判所や検察官をはじめとする関係者に対し、改正の趣旨や国会答弁の内容などを十分に周知し、それらに沿った運用がなされるよう徹底すべきである。
4.引き続き国民に信頼される刑事司法制度確立に向け取り組む
冤罪は、国家による最も重大な人権侵害である。国民が安心してくらすためには、冤罪を生まない刑事司法制度や、万一冤罪が生じてしまった場合にその被害者を確実かつ速やかに救済できる刑事司法制度の確立が不可欠である。連合は、冤罪を防止するための取り調べの全過程の録音・録画の対象範囲の拡大も含め、国民に信頼される刑事司法制度の確立に向け、引き続き全力で取り組んでいく。
以 上