事務局長談話

 
2026年07月10日
労災保険法等改正法の成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神保 政史

1.改正法は労災保険制度のセーフティネット機能強化に資する内容
 7月10日、参議院本会議において労災保険法等改正法が可決・成立した。改正法は、遺族補償年金の夫婦間格差の是正や暫定任意適用事業の廃止(小規模農林水産事業者への労災保険の強制適用)、フリーランスなどに労災保険の保護を特別に及ぼす特別加入制度の適正化、労災保険給付請求権などの消滅時効期間の延長など、全体として労災保険制度のセーフティネットの機能強化に資する内容を含むものであり、評価する。

2.遺族補償年金の夫婦間格差の是正などは被災労働者の保護を前進させるもの
 ジェンダー平等などの点から課題があった遺族補償年金の夫婦間の支給要件格差の解消や、暫定任意適用事業の廃止は、被災労働者の保護を前進させるものである。また、特別加入制度の適正化に向けては、特別加入団体の承認要件を厳格に定めた上で適正運営を促すとともに、「労働者」として認められる者は確実に保護を及ぼすべきである。その他、改正法では消滅時効期間の延長が一部の疾病を原因とする給付請求に限定されたが、施行状況を踏まえ、将来的には原因となる疾病の種別にかかわらず5年に延長すべきである。

3.労災支給決定情報の事業主への提供は被災労働者の保護に万全を期すべき
 改正法とあわせ運用が見直される労災支給決定情報の事業主への提供については、労働政策審議会の報告において労働者代表から、事業主から被災労働者への不当な圧力や請求の萎縮を招くとして強い反対意見が付された。国会審議でも同種の懸念が示され、附帯決議に提供情報の最小化や不適切な事業主への提供停止などの保護策が明記された。政府は附帯決議を極めて重く受け止め、被災労働者が不利益を被ることのないよう万全を期すべきである。あわせて、労災の多寡により保険料率を増減させる「メリット制」が労災隠しや報復行為を誘発する弊害が生じていないかの実態把握を行った上で、制度のあり方を検討することが必要である。

4.被災労働者と遺族の迅速かつ公正な保護に向けて全力で取り組む
 改正法成立を受けて、今後、労働政策審議会では、労災保険法等の政省令の改正に向けた議論や、附帯決議に付された事項の検討が行われる。連合は、審議会をはじめとする政策的対応とともに、特別加入団体である「連合フリーランス労災保険センター」の運営などの運動面の対応を強化し、被災労働者と遺族の迅速かつ公正な保護をはかるという労災保険制度のセーフティネット機能強化に全力で取り組む。

以 上