事務局長談話

 
2026年06月16日
「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する基本的な計画」閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 神保 政史

1.包摂的な共生社会の実現に向けた施策としては不十分
 6月16日、政府は「性的指向及びジェンダーアイデンティティの多様性に関する国民の理解の増進に関する法律」(以下、理解増進法)にもとづき、施策を推進するための「基本的な計画(以下、基本計画)」を閣議決定した。基本計画では、性的指向・性自認(以下、SOGI)に関する国民の理解増進のため、学術研究の推進、国・地方自治体・事業主等による知識の普及、相談体制の整備などの施策が盛り込まれている。しかし、2023年の理解増進法施行後、基本計画策定まで約3年を要しており、また、その内容も表層的な対応に留まっている。政府がめざす多様性が尊重される、包摂的な共生社会の実現に向けた施策としては不十分である。

2.既存施策の延長ではなく、より取り組みを強化する内容を
 基本計画では「国民の理解を着実かつ効果的に増進するため、学校、地域、家庭、職域その他の様々な場を通じて、重層的にSOGIの多様性に関する知識を普及することが望ましい」としている。特に理解増進の要である学校教育では、教職員の研修などが中心となっており、児童・生徒に対する教育や対応が不十分である。また、基本計画の内容は、この間、関係省庁、地方自治体、企業などで、SOGIに関する取り組みとして進められてきたものに留まっており、既存施策の延長ではなく、より取り組みを強化する内容を盛り込むべきである。

3.社会全体のSOGIに関するハラスメントの根絶に取り組むべき
 基本計画では、SOGIに関する侮辱的言動やアウティング、カミングアウトの強要・禁止等がハラスメントに該当し得る旨について周知を行うとしている。しかし、すでに2025年6月の労働施策総合推進法等の改正により、カスタマーハラスメントや求職者等に対するセクシュアルハラスメントが事業主の雇用管理上の措置の対象となるなど、職場におけるハラスメント対策は強化されている。こうした動向を踏まえれば、周知に留まらず、インターネット上の誹謗中傷への対応強化など、社会全体のSOGIに関するハラスメントの根絶に取り組むべきである。

4.SOGIにかかわらず、あらゆる差別と偏見をなくす実効性ある施策の加速を
 政府は、理解増進にとどまることなく、SOGIにかかわらず、あらゆる差別と偏見をなくす実効性ある施策を加速させるべきである。連合は、引き続き、SOGIに関する差別の禁止を求めるとともに、すべての人の人権が尊重され、対等・平等な社会の実現に向けて、取り組みを強化していく。

以 上