2025年12月25日
「介護保険制度の見直しに関する意見」に対する談話
1.利用者負担の見直しは慎重に検討すべき
社会保障審議会介護保険部会(部会長:菊池馨実早稲田大学法学学術院教授)は12月25日、「介護保険制度の見直しに関する意見」を取りまとめた。中山間・人口減少地域における地域の実情に応じた包括的評価(月単位の定額払い)の導入、ケアマネジャーの更新制・法定研修の見直し、すべての介護事業者に対するカスタマー・ハラスメントへの対応義務づけなどが盛り込まれたことは評価できる。一方で、負担のあり方について、「能力に応じた負担」の方向性が示され、有料老人ホームの入居者に係るケアマネジメントについて費用の自己負担の検討を求める内容となった。利用者負担の見直しについては、慎重かつ丁寧な検討が必要である。
2.利用者負担の増加はサービスの利用控えや介護離職がさらに増加する懸念
部会では、2割負担の対象となる「一定以上所得」の基準を引き下げる複数案が提示され、急激な負担増を緩和するため、当分の間、配慮措置を設けることなども示されたが、今回は継続審議となった。介護サービスの利用期間は医療に比べて長期化する傾向にあり、負担増が要介護者本人や家族の経済的選択に及ぼす影響は極めて大きい。利用控えが生じれば、要介護度悪化の懸念だけでなく、介護サービスの不足分を家族が補うことによって介護離職が増加する懸念もある。利用者負担は1割を基本とし、2割負担の対象拡大は行うべきではない。また、ケアマネジメントの一部有料化についても、障害者総合支援法との整合性などの観点から導入すべきではない。
3.介護分野で働く人に対するさらなる処遇改善措置の拡充が不可欠
介護分野の深刻な人材不足を解消し、質の高いサービスを継続して提供するためには、持続的な賃上げが不可欠である。また、介護現場は多職種の労働者によって支えられており、介護に関わるすべての労働者を対象とした処遇改善が求められる。まずは2026年度介護報酬改定における賃上げ措置を現場に確実に反映させることが重要である。その上で、2027年度介護報酬改定においては、全産業平均に遜色ない賃金水準の実現をめざし、引き続きの処遇改善を行うべきである。介護の職場を魅力あるものとし、介護保険制度を安定的に維持するためにも、政府はさらなる処遇改善措置の拡充を進める必要がある。
4.介護離職のない社会の実現と持続可能で普遍的な介護サービスを
今後は次期通常国会に介護保険法改正法案が提出される見込みである。連合は、誰もが住み慣れた地域で必要な介護サービスを受けることができ、働く人が介護離職することのない社会の実現をめざし、引き続き全力で取り組んでいく。
以 上