2025年12月25日
同一労働同一賃金部会報告「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取組の強化について」に対する談話
1.待遇改善に資する方策が示されるも、法改正の結論には至らず不十分
12月25日、労働政策審議会同一労働同一賃金部会(部会長:小畑史子 京都大学大学院人間・環境学研究科教授)は、報告「雇用形態又は就業形態にかかわらない公正な待遇の確保に向けた取り組みの強化について」をまとめた。「働き方改革」の柱として導入された「同一労働同一賃金」の施行後5年後見直しとして、報告では、「同一労働同一賃金ガイドライン」の拡充などのパート・有期・派遣労働者の待遇改善に資する方策が示された。この点は前進であるが、法改正の結論には至らず不十分である。
2.「同一労働同一賃金」の目的達成に向け、法改正による規制強化が必要
部会において労働者側は、待遇差の合理性にかかる立証責任の転換やパート・有期・派遣労働者からの求めの有無に関わらない待遇差の説明義務化、無期転換労働者を含む無期雇用フルタイム労働者と通常の労働者との合理的な理由のない待遇差の禁止規定の整備などの法改正を求めたが、報告はそれらには踏み込まなかった。法改正以降も正社員と正社員以外の者の賃金比率は6割強に留まり直近では差が拡大傾向にあるなど雇用形態間格差が存在し、待遇改善に消極的な司法判断もある現状を踏まえれば、どのような働き方を選択しても納得できる待遇を受けられるようにするという「同一労働同一賃金」の目的達成に向け、法改正による規制強化が必要である。
3.報告も踏まえ、「同一労働同一賃金」を着実に職場に定着させるべき
他方で報告は、「同一労働同一賃金ガイドライン」について、退職金や住宅手当などの項目新設や、通常の労働者の待遇引き下げによる待遇差の解消は適切ではないことなど考え方の拡充を行うとした。また、法改正ではないものの雇入れ時の労働条件明示事項に労働者が待遇差の説明を求めることができる旨を追加することや、派遣労働者の賃金改善に必要な派遣先の料金配慮義務の履行強化の方策なども明記された。これらはパート・有期・派遣労働者の待遇改善に取り組む労使が直面する課題への対応に資するものである。報告も踏まえたうえで「同一労働同一賃金」を着実に職場に定着させ、次期法改正につなげていくことが重要である。
4.誰もが安心・納得した待遇で働くことができるよう取り組みを強化していく
パート・有期・派遣労働者は、雇用労働者の4割以上を占める職場を支える仲間であり、合理的な理由のない雇用形態間の待遇差があってはならない。連合は「同一労働同一賃金」も含め、雇用形態にかかわらず誰もが安心・納得した待遇で働くことができるよう取り組みを強化していく。
以 上