2025年12月26日
社会保障審議会医療保険部会「議論の整理」に対する談話
1.標準的な出産費用の無償化、医療機関における職場環境改善の推進は評価
社会保障審議会医療保険部会は、12月25日、医療保険制度の見直しに向けた「議論の整理」を取りまとめた。標準的な出産費用の無償化や、医療機関における業務効率化・職場環境改善の推進が盛り込まれたことは評価する。一方、高額療養費や薬剤自己負担などをめぐり、患者の負担増を求める方向性が示されており、影響が懸念される。また高齢者の窓口負担のあり方については2026年度中に制度設計を行うとされており、介護保険の利用者負担増の議論なども踏まえ、丁寧な検討が必要である。
2.患者などへの影響を丁寧に検証し、必要な施策の検討を
高額療養費制度については、自己負担上限額や外来特例の見直しとともに、多数回該当上限額の据え置きや年間上限など機能強化に向けた検討、所得区分の細分化が示されている。見直しの必要性は一定理解するものの、重要なセーフティネット機能である高額療養費制度の役割や社会保険加入への納得性確保の観点から、各所得区分の自己負担上限額において、応能負担を強めることは問題である。またOTC類似薬を含む薬剤自己負担のあり方については、患者に追加負担を求める考え方が示されているが、国民・患者の理解や納得が得られるよう、丁寧な検討が必要である。さらに高齢者の負担のあり方として、窓口負担割合や現役並み所得者の判断基準の見直し、金融所得の勘案が示されているが、年齢別から支払能力に応じた負担となるよう、高齢者医療制度の抜本改革、トータルでの所得捕捉の方策とあわせて検討すべきである。
3.安全・安心の医療に向けて出産の保険適用と処遇改善による人材確保の推進を
標準的な出産費用の無償化については、保険診療以外の分娩対応に要する費用を全国一律の水準で現物給付化し、妊婦の自己負担が生じない仕組みとすることは高く評価する。希望する人が安全・安心に産み育てられる環境整備に向けて、具体化が着実に進むことを期待する。また医療提供体制の確保に向けては、継続的な処遇改善と勤務環境の改善による人材確保が不可欠である。業務効率化は重要であるが、それに伴い人員配置基準を緩和しないよう、真に働く者の負担軽減に資する取り組みを求める。
4.公平で持続可能な医療保険制度の実現に向けて取り組む
今後は次期通常国会に健康保険法等の改正法案が提出される見込みである。患者の経済力や地域などによって医療アクセスに格差が生じることがあってはならない。連合は、公平で持続可能な医療保険制度の確立に向けて、構成組織・地方連合会、連合「患者本位の医療を確立する連絡会」や被用者保険関係団体などと連携し、引き続き全力で取り組んでいく。
以 上