事務局長談話

 
2025年06月20日
「民法の一部を改正する法律案(選択的夫婦別氏制度)」の継続審議に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.今次国会で選択的夫婦別氏制度が実現できず極めて遺憾
 立憲民主党・無所属が提出した「民法の一部を改正する法律案」(以下、立憲案)、日本維新の会が提出した「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」、国民民主党・無所属クラブが提出した「民法の一部を改正する法律案」(以下、国民案)は、今次国会ではいずれも成立せず継続審議となった。28年ぶりに選択的夫婦別氏制度に関する法案審議が行われたが、連合が成立を求める立憲案と国民案の法的効果に違いがないにもかかわらず一本化されず、成立しなかったことは極めて遺憾である。

2.連合は制度実現に向けあらゆる取り組みを進めてきた
 連合は、制度実現に向け、公式ホームページの特設サイトにおいて広く組織内外に対して制度内容を周知するなど機運醸成をはかるとともに、各党に対して法案提出を求める緊急要請を行った。とりわけ、NPO法人 mネットと連携し、今次国会で必ず制度を実現するという強い思いで取り組んだ請願署名は、短期間にもかかわらず衆参両院議長宛あわせて63万筆を超え、同様の取り組みで過去最多となった。また、立憲案が国会に提出された後は、審議が行われるよう、政党・連合出身議員政治懇談会・連合フォーラム議員に対し精力的に働きかけを行った。

3.社会の変化により選択的夫婦別氏制度の必要性・妥当性は高まっている
 国会審議では、選択的夫婦別氏制度により戸籍制度が壊れる懸念はなく、戸籍制度の機能も維持されることが改めて確認された。また、離婚・再婚や事実婚、国際結婚の増加などにより、現行制度の下においても夫婦別氏・親子別氏・兄弟姉妹別氏の家族は多くあり、選択的夫婦別氏制度の必要性・妥当性は法制審答申時よりも高まっていることが示された。制度導入に反対する議員からは「戸籍制度への影響」「家族の一体感への影響」「子どもへの影響」や「旧姓の通称使用拡大で十分」などの主張が繰り返され「法案提出は拙速だ」との批判もなされたが、国民の意識と家族の多様化をはじめとする社会の変化を踏まえた建設的な議論こそが必要である。

4.連合は、選択的夫婦別氏制度の1日も早い実現に向けて取り組む
 希望する人が自らの氏を名乗り続けられるかどうかは、個人の尊厳や人権に関わる重要な問題である。政府が進める旧姓の通称使用拡大では国際社会で通用せず、人権尊重の要請にも応えられない。また、選択的夫婦別氏制度はあくまで選択制であり、夫婦別氏を強制するものでも夫婦同氏を排除するものでもない。連合は、個人の尊厳や人権が尊重される社会に向けて、引き続き選択的夫婦別氏制度の1日も早い実現に取り組んでいく。

以 上