事務局長談話

 
2025年05月23日
ILO第155号条約批准の国会承認に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.条約批准の国内手続完了を歓迎
 5月23日、参議院本会議においてILO第155号条約(職業上の安全及び健康)の批准が全会一致で承認された。日本政府は今後、ILO事務局長に批准書を寄託し、その後に条約批准の効力が発生することとなるが、連合は、まずは今般の国内手続の完了を歓迎する。

2.すべてのILO中核条約の批准と適切な実施が必要
 ILOは「仕事の世界」で守られるべき最低限の基準として、10の中核的労働基準(中核条約)を定めている。昨今、中核条約に違反する国や企業の行動に対し国際的な厳しい視線が注がれ、生産過程で人権侵害を助長する原材料や産品の調達・貿易を規制する動きが広がっている。日本でも、日EU経済連携協定(EPA)や、政府の「ビジネスと人権に関する行動計画」において、中核条約の批准に努力する項目が盛り込まれている。日本が差別や人権の軽視を許さない国であることを国内外に明確に示す意味でも、中核条約はすべて批准し、適切に実施する必要がある。

3.連合は第111号条約の早期批准に向けて取り組む
 第155号条約の批准により、日本が批准していない中核条約は第111号条約(雇用及び職業についての差別待遇)のみとなる。ILOの主要加盟国でありながら、中核条約の未批准がある状態では「人権尊重などに後ろ向き」との評価を世界から受けかねない。2019年6月に衆参両院で全会一致により採択された「ILO創設100周年決議」に「基本条約の批准に向けた引き続きの努力」が盛り込まれていることも踏まえ、政治のリーダーシップで批准に向けた取り組みを加速させなければならない。連合も超党派で構成されるILO活動推進議員連盟などと連携した日本政府への働きかけ、日EU経済連携協定に関する市民社会との共同対話における提起、ビジネスと人権に関する行動計画推進円卓会議・作業部会への参画などを通じ、第111号条約の早期批准に向けた取り組みを引き続き進めていく。

以 上