事務局長談話

 
2025年05月16日
「年金制度改正法案の閣議決定」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.国民が安心できる年金制度の構築に向けた国会での熟議が必要
 政府は5月16日、被用者保険の適用拡大や厚生年金のマクロ経済スライドの継続などを盛り込んだ年金制度改正法案を閣議決定した。当初は3月とされていた法案提出が与党内の調整が難航したことにより大幅に遅れたことは遺憾である。少子高齢化の進行により年金制度の持続性と基礎年金の給付水準の確保が求められる中、国民が安心できる年金制度の構築に向けた国会での熟議が必要である。

2.基礎年金の給付水準底上げ策について十分に議論すべき
 法案では、厚生年金積立金の活用による基礎年金の給付水準底上げは見送られることとなった。連合は、基礎年金の給付水準底上げについては、国民の老後の生活に直結する重要な課題であり、被用者保険の適用拡大や、国民年金の改革としての保険料拠出期間の延長、底上げに必要となる国庫負担財源の確保が不可欠だと考える。被保険者や事業主といった保険料負担者の納得も得られるよう、十分に議論すべきである。

3.被用者保険の適用拡大の早期実施と第3号被保険者制度の将来的な廃止の道筋を
 被用者保険の適用拡大については、実施時期・対象が社会保障審議会年金部会の「議論の整理」(2024年12月)から後退している。2030年の次期改正までに企業規模要件の撤廃、新規・既存に関わらず個人事業所(5人以上)への適用を行い、被用者保険の適用拡大を着実に進めるべきである。また、第3号被保険者制度は働き方などに中立的な社会保険制度とはいえないことから、将来的な廃止に向けた検討会の設置を確認するなど、今後の道筋をつけるべきである。

4.国会審議における意見反映に向けて全力で取り組む
 6月の国会会期末までの時間は限られている。連合は、国会における議論を注視し、政党との意見交換や連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員と連携して、徹底した国会審議を求めるとともに意見反映に向けて全力で取り組んでいく。

以 上