事務局長談話

 
2025年03月31日
2025年度政府予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.連合が求めた予算の精査・修正は行われず遺憾
 3月31日、2025年度予算が衆議院本会議において与党などの賛成多数で再可決し成立した。今次予算は、1955年度以来70年ぶりに衆議院で減額修正が行われた後、参議院で高額療養費制度の実施時期の見直しによる組み換え修正が行われ、衆議院で再可決するという憲政史上類を見ない異例の事態となった。その結果、一般会計予算総額は当初予算案より3,437億円減額の115.1兆円となり、3年連続で110兆円超えとなった。
 連合は、物価高に苦しむ国民への対策と山積する日本の構造課題に対して抜本的対策を示すべきとの観点から政府予算の精査・修正を求めてきた。しかしながら、予算審議では、少数与党で予算を通すため、日本維新の会との非公開協議が優先され、物価高対策や構造課題の解決に資する議論は全く深まらなかった。加えて、参議院審議中にも関わらず、石破総理が「強力な物価高対策」に言及したことは、国会軽視であり、こうした状況で成立した今次予算は、遺憾と言わざるを得ない。

2.社会保障サービスを担う人材のさらなる処遇改善を求める
 人材不足が深刻な医療・介護・福祉などにおける処遇改善策も今次予算には盛り込まれなかった。厚生労働省の「2024年賃金引上げ等の実態に関する調査」では、賃上げの改定額、率ともに、「医療・福祉」分野が最も低くなっている。2024年度補正予算による人材確保に向けた緊急措置だけでは、決して十分と言えず、これ以上他産業との賃金格差を広げないためにも、さらなる処遇改善策を講じるべきである。

3.政府は今こそ財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに着手すべき
 今次予算は、過去最大規模となり、国債残高も過去最高水準を更新している。財務省は債券市場での金利上昇を背景に国債費の増加を見込んでいるが、国債費増大は財政の硬直化を招き、真に必要な政策への予算配分を妨げ、不測の事態に備える財政余力を奪いかねない。政府は今こそ中長期的な財政運営の評価、監視を行う独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに着手すべきである。

4.重要法案対応をはじめ政策・制度要求の実現に全力で取り組む
 後半国会では、教員の処遇を改善するいわゆる給特法改正法案や、フリーランスの労働安全を担保する安全衛生法改正法案など、働く者に関わる重要法案が審議される。連合は、働く仲間の安心・安全の確保に向け、連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員と緊密に連携し、政策・制度要求の実現に全力で取り組んでいく。

以 上