2025年03月31日
2025年度税制改正関連法の成立に対する談話
1.国民の期待に正面から応える税制改正とは言えず大変遺憾
3月31日、「所得税法等の一部を改正する法律案」をはじめとする税制改正関連法案が、参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。
手取りを増やす方策や所得再分配機能の強化による低所得者対策などに国民の期待が寄せられていたにもかかわらず、抜本的な対策が講じられないどころか、焦点となった「所得税の課税最低限の引き上げ」と「ガソリン税の暫定税率の廃止」については、自民・公明・国民の3党合意に基づく真摯な協議がなされたとは言い難い。今回の税制改正は、国民の期待に正面から応えるものとは言えず、大変遺憾である。
2.所得税の基礎控除額の見直しと早急にガソリン暫定税率廃止時期の明確化を
所得税の基礎控除と給与所得控除の課税最低限は引き上げられたものの、年収額により基礎控除額に差が設けられるとともに、年収200万円~850万円の層の増額は2年間に限定されるなど、新たに多くの壁が作られた。公平・中立・簡素という税制の基本原則からかけ離れた複雑な制度設計は、税に対する国民の理解と信頼を損なうものであり、年収額に関わらず一律に見直すとともに、高所得者ほど税負担の軽減額が大きくなる所得税控除から税額控除に変えていくべきである。
また、ガソリンなど燃料課税の暫定税率の廃止時期は、自民・公明・国民の3党協議の場が設けられなかっただけでなく、立憲・国民両党が共同提出した廃止法案も議論が深まらないまま否決されるなど全く前進しなかった。ガソリン価格の高止まりは、特に地方の暮らしや中小企業の経営に大きな打撃を与え続けており、地方財政に配慮しつつ、補助金の延長ではなく廃止時期について、早急に結論を得るべきである。
3.真に国民に寄り添う恒久的な支援策を一刻も早く構築すべき
少子高齢化・人口減少、格差の拡大と貧困の固定化など日本の構造課題を解決し、中長期的に持続可能な経済・社会を実現するためには、税財政の抜本改革が不可欠であり、これ以上先延ばししてはならない。金融所得課税の強化や「給付付き税額控除の仕組み」の構築など、真に国民に寄り添う恒久的な支援策を一刻も早く構築すべきである。また、政府が言及している退職金課税の見直しによって、退職金を受け取る者に不利益が生じることがあっては断じてならない。
4.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて取り組む
連合は引き続き、政府・政党への要請、政府税制調査会での意見反映、連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員との連携などを通じ、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改正の実現に向けて取り組んでいく。
以 上