事務局長談話

 
2025年03月11日
高額療養費制度の見直し実施の見送りに対する談話

1.国民の声を受け止め、丁寧な議論が求められる
 政府は3月7日、高額療養費制度について、本年2025年8月に予定していた見直し全体の実施を見送るとともに、本年秋までに制度のあり方を再検討することを決定した。高額療養費制度の見直しに関する議論は、社会保障審議会医療保険部会で行われたが、その詳細は、政府の予算編成過程の中で決められた。高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものにならないようにする重要な制度である。今回の決定は、患者や国民の声を受け止めたものであり、今後の検討にあたっては、家計への影響も含めて、丁寧な議論が求められる。
 

2.家計への影響はもとより、社会保険への納得性の確保を
 連合は、被保険者の立場で医療保険部会に参加し、見直しの議論においては、①国民や患者の不安、家計への過度な負担増、経済力による受診控えにつながらないよう、慎重かつ丁寧に検討すること、②癌など長期的な治療が必要となる場合もあるため、急激な負担増を避けること、③保険料は負担能力に応じて負担している中、窓口での自己負担上限額でも応能負担を強めることが社会保険加入への納得感を欠くことにつながる懸念などの意見を述べてきた。
 また、3月7日の福岡厚生労働大臣と連合などとの面会の際にも同様の意見を表明し、治療が必要な人にとって過重な負担とならないようにするとともに、所得区分の細分化に伴う引き上げについても、上限額の傾斜が急にならないよう、見直しの再検討を求めた。再検討の際は、これらの観点も踏まえて検討されなければならない。
 

3.持続可能な医療保険制度に向けて根本的な議論を
 今後は、高齢化や高額な医療の増加にいかに対応していくのか、年齢で区切っている現在の医療保険制度、高齢者医療制度の見直しを含め、納得性、公平性の確保に向けた根本的な議論が求められる。政府は、国民の声や実態を踏まえつつ、「上手な医療のかかり方」を啓発するとともに、患者の状態像に応じた入院医療のあり方などもあわせて検討し、医療費の伸びを抑制していくことが重要である。連合は、持続可能な医療保険制度に向けて、引き続き意見反映に向けて全力で取り組んでいく。
 

以 上