2024年12月27日
「2025年度政府予算案」の閣議決定に対する談話
1.格差の拡大や貧困の固定化など構造課題への抜本的対策が示されず不十分
12月27日、政府一般会計総額を115.5兆円とする2025年度予算案を閣議決定した。予算編成の基本方針では、現下の状況を「賃上げと投資が牽引する成長型経済に移行できるかの分岐点」にあるとし、連合が求める適正取引の推進など賃上げを継続できる環境整備、DXやGXなどへの積極的な投資、対応が急務である能登半島地震への支援策などが盛り込まれたが、日本の構造課題への抜本的な解決策はなく、このままでは、再びデフレ状態に戻りかねない。
基本方針は、「賃金・所得の構造的かつ持続的な増加が実現するまでの間、中間層も含めて、物価高の影響を受ける幅広い層への支援ときめ細かい物価対策に取り組む」としているが、これだけでは格差の拡大や貧困の固定化への抜本的な対策にはなり得ない。今必要なのは、所得再分配機能の強化と社会保障と税の一体改革による重層的なセーフティネットの構築であり、今次予算案は不十分であると言わざるを得ない。
2.全世代支援型社会保障の構築に向けて担い手のさらなる処遇改善を
社会保障については、高齢化のさらなる進展や人口減少に対応する観点から、良質で切れ目のない医療・介護の提供体制を構築するための人材確保を後押しする施策は示されたものの、訪問介護など在宅ケアを支えるサービスの充実に必要な財源は十分に措置されていない。加えて、現場を担う労働者の賃金・労働条件を継続的に改善するための施策も物足りないと言わざるを得ず、将来にわたって持続可能な全世代支援型の社会保障サービスを構築するためにも、担い手へのさらなる処遇改善策を充実させるべきである。
3.税制改正法案とあわせて徹底した国会審議を通じて精査・修正を求めていく
2025年度は、プライマリーバランスの黒字化達成年であるにもかかわらず、今次予算総額は、3年連続で110兆円を超えている。2024年度の赤字国債など公債残高累計額が1,105兆円にのぼると見込まれる中、安易に国債に依存し続けることは、将来世代への付け回しであり容認できるものではない。黒字化の「旗」を降ろさないのであれば、政府は、財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに本気で着手すべきである。
連合は、構成組織・地方連合会、連合出身議員政治懇談会、立憲民主党、国民民主党、連合フォーラム議員と連携し、徹底した国会審議を通じて真に国民に必要な予算・税制改正となるよう、精査・修正を求めていく。
以 上