事務局長談話

 
2024年12月23日
与党「令和7年度税制改正大綱」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.自民・公明両党の対応は取りまとめに至る経過も含め不誠実と言わざるを得ない
 12月20日、自民・公明両党は「令和7年度税制改正大綱」(以下、大綱)を決定した。当初、自民・公明に国民民主を加えた3党で協議がスタートし、争点は国民民主党が求めた「所得税の課税最低限の引き上げ」と「ガソリン税の暫定税率の廃止」であった。協議は紛糾したものの、2024年度補正予算案の賛意と引き換えに幹事長間で3党合意が結ばれた。しかしながら、その後の所得税の課税最低限の「引き上げ額」を巡って協議は決裂し、結果、自公案での取りまとめとなった。大綱には、3党合意の内容が記載され、「自由民主党・公明党としては、引き続き、真摯に協議を行っていく」としているが、ガソリン税に対する具体的記載はなく、自民・公明両党の対応は取りまとめに至る経過も含め、不誠実と言わざるを得ない。

2.今こそ税制の抜本的な見直し策を講じていくべき
 税収は、名目賃金の上昇や企業の好業績、物価上昇などを背景に、過去最高を更新しているが、少子高齢化・人口減少に歯止めのかからないわが国において、山積する構造課題を解決しつつ安定的な税収基盤を確保するには、税体系全般の抜本的な見直しが必要不可欠である。
 大綱は、「今後とも、格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考え方の下、不断の見直しを行わなければならない」としているが、格差是正に資する具体的な税制改正は見当たらない。
 現存する所得格差を是正するには、税による所得再分配機能の強化が不可欠であり、所得税の「一億円の壁」解消に資する金融所得課税の強化、低所得者へのプッシュ型支援を実現する「給付付き税額控除の仕組み」の構築、所得税の応能負担を高める所得控除から税額控除へ移行など、今こそ、税制の抜本的な見直し策を講じていくべきである。

3.連合は「公平・連帯・納得」の税制改革実現に総力をあげて取り組む
 税に対する国民の信頼を高めるには、政治の透明性を高め、真に国民が必要とする施策について国会で熟議されなければならない。来年1月に招集される第217通常国会では、税制改正についてこれまで以上に徹底した議論が行われることを期待するとともに、連合は、働く者・生活者の立場に立った「公平・連帯・納得」の税制改革実現に向けて、構成組織・地方連合会、連合出身議員政治懇談会、立憲民主党、国民民主党、連合フォーラム議員と連携し、取り組んでいく。

以 上