2024年12月18日
企業取引研究会「報告書」取りまとめについての談話
1.新しい時代にあったルールづくりに資するものとして評価
12月17日、公正取引委員会・中小企業庁の「企業取引研究会」(座長:神田秀樹 東京大学名誉教授)は、下請法の見直しに関する事項、優位的地位の濫用、下請法の運用、執行の見直しなどに関する「報告書」を取りまとめた。賃金や物価が安定的に上昇する新しい時代にあったルールづくりに資するものとして評価できる。
2.適切な価格転嫁・適正取引につながる提言
「報告書」では、①資本金の調整による下請法の適用逃れを防ぐため従業員数を適用基準に追加すること、②コスト上昇局面において、協議に応じず、一方的に取引価格を据え置くなどにより受注者(下請事業者)の経営を圧迫するような行為を禁止すること、③荷主と運送事業者も下請法の対象とすること、④下請法上問題がある行為については、事業所管省庁が連携して助言・指導できるようにすること、⑤発注者(親事業者)と受注者(下請事業者)が対等な関係ではないという語感を与える「下請」という用語を見直すことなど、適切な価格転嫁・適正取引につながる具体的な提言が盛り込まれている。
3.連合の政策実現活動の成果
連合は、本年4月、公正取引委員会と中小企業庁に対し、取引の適正化のための新しいルールづくりのために、下請法など法令改正も含めた検討を要請した。また、新しい資本主義実現会議では、中小企業の賃上げ実現には労務費の適切な価格転嫁を徹底することが不可欠であり、さらなる取り組み強化と下請法などの法令改正を早急に進めるべきであると訴えてきた。こうした中、7月に本研究会が設置され、連合も委員として参画し、意見反映に努めてきた。
4.早期の法改正と実効面の強化が必要
連合は、政府に対し、「報告書」にもとづき、下請法などの改正法案を速やかに次期通常国会に提出するとともに、下請法の範囲に含まれない取引も含め、商慣習の改善や取引の適正化についての実効面を強化するよう求める。連合としても、2025春季生活闘争などを通じ、適切な価格転嫁・適正取引の実現に向けて、引き続き全力で取り組む。
以 上