2024年08月28日
新しい資本主義実現会議 三位一体労働市場改革分科会 「ジョブ型人事指針」に対する談話
1.ジョブ型人事の導入はあくまで選択肢の一つ
8月28日、新しい資本主義実現会議「三位一体労働市場改革分科会」は「ジョブ型人事指針」を公表した。本指針は、「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」において、構造的賃上げに向けた「三位一体の労働市場改革」(ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化、リ・スキリングによる能力向上支援)を受けたものであり、ジョブ型人事を導入した日本企業20社について、制度導入の目的や内容、プロセスなどを取りまとめた「事例集」である。各事例は、「ジョブ型」の要素を取り入れた人事制度であって、職務記述書と雇用契約が紐づく、いわゆる欧米型の「ジョブ型雇用」とは異なることや、ジョブ型人事の導入はあくまで選択肢の一つであることなどについて、正しく周知されることが必要である。
2.人事制度の見直しにあたっては労働組合などとの丁寧な対話が不可欠
指針には「個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入を進める」とあるが、ジョブ型人事は企業規模や業種によってはなじまない場合があるほか、無理な導入は人材定着に逆行するといった懸念もある。ジョブ型人事を含め、どのような人事制度を導入するかは、産業を取り巻く情勢や労使慣行、職場実態に即して個別労使により主体的に検討されるべきである。指針の多くの事例においても、労使協議などによる双方向のコミュニケーションが行われている。人事制度の見直しにあたっては、労働者の納得性や適切な制度運用の観点から、労働組合などとの丁寧な対話が不可欠である。
3.「能力開発と処遇改善の好循環」に全力で取り組む
持続的・構造的な賃上げに向けて、政府が進めるべきはジョブ型人事の導入や労働移動を推奨することではなく、能力向上支援などの人への投資とともに、セーフティネット機能の強化や取引の適正化などに一体的に取り組むことである。労働者が能力を発揮し活躍し続けるためにも、能力開発による能力向上が適切に評価され、処遇改善につなげていくことが不可欠である。連合は、引き続き「能力開発と処遇改善の好循環」の実現に向け、全力で取り組んでいく。
以 上