2024年08月08日
「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」報告書に対する談話
1.ハラスメント対策強化は一定の評価、女性活躍推進法は取り組みの加速が必要
8月8日、厚生労働省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」(座長:佐藤博樹東京大学名誉教授)は報告書を取りまとめた。報告書において、女性活躍推進法の10年間延長の方向性を示したことは、女性参画推進に係る政府目標の進捗に遅れが見られることを踏まえれば妥当であるが、取り組みを加速するための見直しが必要である。一方で、職場のハラスメントは許されるものではないことの法律における明確化、カスタマー・ハラスメント(以下、カスハラ)対策や就活中の学生のみならず求職者一般に対するハラスメント対策強化の方向性は一定の評価ができる。
2.男女の格差の要因分析と是正に向けた取り組みの促進が重要
報告書は、「男女の賃金の差異」の公表義務を101人以上の企業に拡大することや女性管理職比率の開示を必須とする方向性を示した。女性活躍推進の取り組みを加速させ、実効性あるものとするためには、情報公表必須項目数をさらに増やすとともに、格差の要因分析・是正を促す仕組みの構築が必要である。また、誰もが活躍できる社会の実現に向け、将来的には、すべての企業における取り組みを促進すべきである。なお、女性の健康支援は重要であるが、労働者のプライバシー保護の観点から健康情報の取り扱いには最大限注意が必要である。
3.仕事の世界におけるハラスメント対策として実効性のある取り組みを
報告書は、「望ましい」取り組みに留まっていたカスハラ対策と求職者に対するセクシュアル・ハラスメント対策を事業主の措置義務とする方向性を示した。これらは、仕事の世界におけるハラスメント対策強化として評価できる。一方、行為者に第三者が含まれるカスハラは、事業主の取り組みだけでは対策が難しい。消費者の権利に配慮しつつ、ハラスメントを行ってはならないことを法律で明確化し、社会的な合意形成につなげていくべきである。また、求職者に対するハラスメントには、パワー・ハラスメントも含め、あらゆるハラスメント対策を事業主の措置義務とすべきである。
4.すべての人の人権が尊重され、安心・安全に働ける社会の実現に向け取り組む
今後は報告書をもとに、労働政策審議会において法制化に向けた議論が行われる。誰もが持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境を構築するには、女性活躍推進法の取り組みを加速するとともに、仕事の世界におけるあらゆるハラスメント対策を強化し、ILO第190号条約の批准につなげていくことが重要である。連合は、すべての人の人権が尊重され、安心・安全に働き続けることができる社会の実現に向けて、全力で取り組んでいく。
以 上