事務局長談話

 
2024年08月02日
新たな「過労死等防止対策大綱」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.過労死等を根絶すべく新たな大綱にもとづく具体的施策の確実な実施を
 政府は8月2日、新たな「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、「大綱」という)を閣議決定した。「大綱」では、この間の法改正や行政における取り組みの課題などを踏まえ、基本的考え方、長時間労働やハラスメントの根絶に向けた重点対策などの見直しがなされた。過労死等防止対策推進法の成立から10年の節目を迎えたが、昨年度は過労死等の労災請求件数が過去最多となった。痛ましい過労死等を根絶する強い決意のもと、「大綱」にもとづく具体的な施策を確実に実施するべきである。
 

2.カスタマーハラスメントなどハラスメント対策の充実は有意義
 「大綱」では、今年4月から自動車運転業務、医師、建設業などにも適用された時間外労働の上限規制の遵守徹底や、荷主や注文者などの行動変容を促す商慣行の是正に省庁横断的に取り組むとした。数値目標では、長時間労働者の割合が特に高い業種の重点的な取り組みの推進や、未達となった「職場に相談先がある労働者割合」の継続的な把握を行うとした。また、カスタマーハラスメントに対する業種別の取り組み支援、心理的負荷に関する調査の実施など、ハラスメント対策の充実がはかられた。過労死等防止対策推進協議会での議論を踏まえ、こうした点が記載されたことは過労死等防止対策の実効性を高める上で有意義である。
 

3.命と健康を守る勤務間インターバル制度の導入に向けた取り組みの加速を
 過労死等を防止するための効果的な方策である勤務間インターバル制度については、直近でも企業の導入割合が低いが、「大綱」では、職種・業種などの特性を踏まえたマニュアルの作成・周知、制度意義のさらなる周知などの取り組みにとどまった。労働者の命と健康を守るためには、周知のみならず、特に勤務間インターバル確保の必要性が高い職種・業種などを含め、同制度の導入に向けた取り組みを一層加速させることが重要である。
 

4.職場実態を熟知する労働組合が過労死等ゼロの実現に果たすべき役割は大きい
 「大綱」には、労働組合による労働関係法令の遵守状況の定期的な確認や、ワーク・ライフ・バランスの実現などの取り組みについても追記された。職場の実態を熟知する労働組合が、働く仲間に寄り添い、率先して長時間・過重労働やハラスメントのない職場づくりを進めることが重要である。連合は、構成組織・地方連合会とともに、引き続き過労死等ゼロの実現に向けて全力で取り組みを展開していく。
 

以 上