事務局長談話

 
2024年07月29日
「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について答申(案)」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.給特法の抜本見直しに至らず大変残念であると言わざるを得ない
 7月26日、中央教育審議会 初等中等教育分科会 質の高い教師の確保特別部会(部会長:貞広斎子千葉大学副学長・教育学部教授)は、「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について答申(案)」(以下、答申案)を取りまとめた。
 答申案は、教師の処遇改善策として教職調整額の増率を織り込むなど一定の前進がみられる。また、時間外在校等時間が特に長時間となっている教師に対して、校長等の管理職や、教師の服務を監督する教育委員会が責任を持って、「目に見える形で働き方を改善していくための具体的な手立てを最優先で講じることが必要」としたことは評価できる。
 一方、学校における働き方改革については、連合が求めてきた労働基準法第37条の適用など「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下、給特法)の抜本見直しには至らず、大変残念であると言わざるを得ない。

教員の健康および福祉の確保に向けて在校等時間の位置づけの明確化が必要
 教員の平均の時間外在校等時間を月20時間程度に縮減することをめざしていくためには、まずは、答申案で示された工程表に沿って、業務量と長時間労働を着実に是正していくことが重要である。加えて、答申案の取りまとめに際して実施されたパブリックコメントでは、「教師の健康と福祉の確保」について抜本的な改善を望む声が多く寄せられており、労働安全衛生の観点から在校等時間の位置づけを明確化し、安全配慮義務を課した上で、人事委員会が労働基準監督機関としての職権を行使できる体制とすべきである。

3.残された課題について「教員の勤務実態」を踏まえた検討の場が必要
 総合的な職場改善に向けては、答申案に盛り込まれず、積み残されたままの課題が多く存在する。今後、国は、答申案の進捗状況に対する調査を毎年行い、客観的なフォローアップを行うとしているが、教員の働き方の実態を把握するためには、一定の間隔を持って継続的に「教員勤務実態調査」を実施し、その結果も踏まえながら、積み残した課題を検討する場を設置する必要がある。
 連合は、すべての子どもたちの学びの保障と学びの質を担保するため、教員が心身ともに健康に働くことで質の高い教育を確保できるよう、給特法の抜本的な見直しを含む教員の長時間労働是正に向けて引き続き、取り組んでいく。

以 上