事務局長談話

 
2024年06月17日
ILO総会「基準適用委員会」の個別審査結果に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.公務員労働基本権問題でILOは日本政府に対応を要請
 6月14日、国際労働機関(ILO)は第112回総会において、基準適用委員会の個別審査報告書を採択した。本年の基準適用委員会は、2018年以来6年ぶりに日本のILO第87号条約の適用状況(公務員の労働基本権の制約状況)を個別審査した。日本案件についての議長集約(結論)では、本事案が長期にわたるものであること、および直近では2018年に委員会で議論されたことについて留意、考慮したうえで、日本政府に対し、消防職員の地位と労働条件の改善、刑事施設職員における団結権のあり方、自律的労使関係制度の検討などに関し、条約に沿って、労使団体との協議を行い、本年9月までに報告書を提出することを要請した。これらの内容は、日本政府の主張・対応がILOの労働基本権保障の観点から受け入れられないものであることを改めて示したものであり、妥当と判断する。

2.日本政府は誠実さに欠けた態度を改めるべき
 個別審査において、日本政府は「消防職員・刑事施設職員は(労働基本権が制約される)警察と同視される、団結権を与えれば緊急事態などの対応に支障をきたす、自律的労使関係制度の構築については、交渉コストの増加や労使交渉の長期化など様々な課題がある」など、旧態依然とした制度の維持を前提とする従前の主張を繰り返した。このような姿勢は、日本政府が本件に関するこれまでの基準適用委員会および結社の自由委員会による度重なる指摘を無視し続けていることの証左であり、誠実さに欠け、ILOの主要加盟国として恥ずべき態度である。日本政府は、もはや国際的に許容されない主張に固執・拘泥することなく、海外の事例に学び、状況の是正に向けて労働組合との実効性を伴う意味ある対話を行わなければならない。

3.国会と政府は結論を真摯に受け止め、すみやかに実効ある対応を
 今回のILOの結論は、公務員労働基本権を制約し続ける日本の特異性に対する国際社会の強い懸念を改めて示したものといえる。日本政府には、これらの報告を真摯に受け止め、すみやかに「期限付きの行動計画」を社会的パートナーとともに策定するよう強く求める。
 労働基本権は公務・民間にかかわらずすべての労働者に等しく保障されなければならない。連合は、国民本位の行政を行うためにも、民主的で透明な公務員制度改革の実現をめざし、引き続き関係組織と緊密に連携して取り組みを推進していく。

以 上