事務局長談話

 
2024年05月20日
「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」等の報告書に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「働く者」の保護に資する法整備の方向性が示されたことは一定の評価
 5月20日、厚生労働省の「特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」は報告書を取りまとめた。昨年4月28日に成立した特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(以下、フリーランス新法)のうち、就業環境の整備に係る政省令などについて、連合は「働く者」の保護を求めてきた。報告書において労働関係法令に即した法整備の方向性が示されたことは、フリーランス保護に向けた一歩として、一定の評価ができる。

2.業務委託期間にかかわらない誰もが安心して働くための環境整備が必要
 報告書では、妊娠・出産などに関するハラスメントの対象事由など、労働関係法令に合わせ一定の保護をはかるとされた。一方、妊娠・出産などに対する配慮義務および契約の中途解除等の事前予告義務の対象は、契約期間が「6か月」以上の業務委託に限定された。母体保護の観点から、契約期間の長短に関わらず、配慮を申出できる環境整備が必要である。また、育児介護に対する配慮の申出を妨げることなどは「望ましくない取扱い」に留まったが、フリーランス保護の観点から、特定業務委託事業者に対して、配慮を行うよう積極的に促すことが必要である。

3.最低報酬の設定や労働者性の見直しに向けた検討を
 フリーランス新法の「取引の適正化」については公正取引委員会「特定受託事業者に係る取引の適正化に関する検討会」で議論された。報告書では、契約時の明示事項の明確化や費用負担のあり方をガイドラインで明らかにするなどの方向性が示された。今後、フリーランス新法に盛り込まれなかった最低報酬の設定や仲介事業者に対する業規制、「曖昧な雇用」で働く者の保護に向けた「労働者性の見直し」についても検討を進めるべきである。

4.連合は働く者の安心と安全のために全力で取り組む
 本報告書をもとに政省令が制定され、本年11月に施行される予定である。労働者に近い働き方の場合には労働関係法令により適切に保護するとともに、関係者へのフリーランス新法の周知徹底、相談体制の整備、適正な運用確保などによる実効性確保が求められる。連合は、フリーランスとつながる仕組みであるWor-Qなどを通じてフリーランスの就業実態の把握に取り組むとともに、構成組織、地方連合会と一丸となって、曖昧な雇用で働く者の安心と安全の確保に向けた運動を展開していく。

以 上