事務局長談話

 
2024年03月29日
2024年度政府予算成立に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.山積するわが国の構造課題解決に向けた十分な議論がなされず大変遺憾
 3月28日、2024年度予算案が参議院本会議において与党などの賛成多数で可決・成立した。連合は、山積するわが国の構造課題の解決に向けた抜本的な対策を示すとともに、能登半島地震からの復旧・復興に向けた十分な予算措置を行うべきとの観点から、政府案の精査・修正を求めてきた。
 能登半島地震への対応は、生活再建支援として交付金制度が創設されるなどしたが、今後も被災地に寄り添った息の長い支援が必要である。一方、構造課題への対応にはもはや時間的余裕がないにもかかわらず、政治資金問題に多くの時間が費やされ、解決策について十分な議論がなされなかった。こうした状況で成立に至ったことは、わが国の将来への政治責任が果たされたとは言えず、大変遺憾である。

2.子ども・子育て支援の財源は国民的な合意形成のもとで幅広く検討すべき
 子ども・子育て支援は「社会全体で支える」という合意形成が重要である。しかし、医療保険料とあわせて徴収する「支援金」は、負担が増える労働者が出ることへの懸念が拭えない。連合は、こども未来戦略会議などの場で、「支援金」の給付と負担の関係の不明確さ、今後の政策の財源確保策の前例となる危険性などを指摘してきた。予算委員会では、指摘に対する明確な説明はなく、国民の理解・納得につながったとは言い難い。子ども・子育て支援には長期で安定した財源が必要であり、国民的な合意形成のもと、歳出全体の見直しや税財源など幅広い財源確保策を検討すべきである。

3.今こそ政府は財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに着手すべき
 政府は予算編成の基本方針で「歳出構造を平時に戻す」としたにもかかわらず、2024年度も35兆円の新規国債が発行され、日本銀行の金融政策の変更に伴い、国債の償還や利払いに充てる国債費の増大が今後も見込まれる。国債費増大は財政の硬直化を招き、真に必要な政策への予算配分を妨げ、不測の事態に備える財政余力を奪いかねない。金融政策を見直す今こそ、政府は、中長期的な財政運営の監視・評価を行う独立財政機関を設置し、財政規律の強化と歳出構造の不断の見直しに着手すべきである。

.重要法案対応をはじめ政策・制度要求の実現に全力で取り組む
 後半国会では、「支援金制度」、育児・介護休業、性暴力防止など子ども・子育て関連、雇用保険、外国人技能実習制度、CCSや水素活用などカーボンニュートラルへの対応、食料安定供給や農業支援など、くらしや雇用にかかる重要法案が審議される。連合は、働く仲間の安心・安全の確保に向け、連合出身議員政治懇談会、連合フォーラム議員と緊密に連携し、政策・制度要求の実現に全力で取り組んでいく。

以 上