事務局長談話

 
2024年03月15日
入管難民法及び技能実習法改正法案の閣議決定に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.制度の適正な見直しに向けた懸念は未だ拭えない
 政府は3月15日、「出入国管理及び難民認定法及び外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の一部を改正する法律案」を閣議決定した。技能実習制度と特定技能制度の見直しについては、入管庁に設置された有識者会議で議論され、2023年11月に最終報告書が取りまとめられた。法案は、報告書の内容を踏まえつつも、技能実習制度に代わる新たな育成就労制度の受け入れ分野や、本人意向の転籍要件に修正が加えられるなど、制度の適正な見直しにつながるのか、未だ懸念は拭えない。

2.人材育成に資する受け入れ分野の設定が重要
 適正化に向け明確にすべき主な点は3点ある。①育成就労制度の受け入れ分野については、特定産業分野の中で設定する方向性は示されているが、報告書で「人材育成になじまない分野は対象外」と明記されていた点は曖昧になった。人材育成と適切な処遇の担保など、育成就労制度の趣旨を踏まえた基準により、厳格に分野を設定することが重要である。②具体的な受け入れ分野などを議論する場として、報告書では「新たな会議体」の設置が明記されていたが、法案では「知見を有する者の意見を聴く」との記載にとどまった。制度の適正履行において重要な役割を担う会議体の設置やその役割、権限などは、法案において明確にすべきである。③育成就労制度における転籍のあり方や、有識者会議での議論なく盛り込まれた永住許可制度の見直しについては、人権の尊重が担保されることが大前提である。

3.外国人労働者の権利保護に向け国会における徹底した議論を
 今回の制度改正を「看板の掛け替え」に終わらせることはあってはならない。「ビジネスと人権」の観点も含め、外国人労働者の権利が守られ、安心して働き暮らすことができる社会の実現に向けて、国会における徹底した議論が求められている。連合は、連合フォーラム議員などと連携しながら法案審議に対応していく。

以 上