事務局長談話

 
2024年02月14日
2024年度診療報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.処遇改善や入院・外来医療の機能分化・連携強化などについては概ね評価
 厚生労働省の中央社会保険医療協議会(会長:小塩隆士 一橋大学経済研究所教授)は2月14日、2024年度診療報酬改定に関する厚生労働大臣からの諮問に対し、答申を行った。医療従事者の賃上げに向けた診療報酬上の評価や、切れ目のない医療の確保に向けた入院・外来医療の機能分化・連携強化、介護サービスなどとの連携推進、小児・周産期医療への支援充実、明細書の無料発行義務の免除規定廃止などが盛り込まれたことについては、概ね評価できる。

2.すべての医療従事者の継続的な処遇改善に向けてさらなる施策を
 連合は、すべての医療従事者の処遇改善に資する改定となるよう意見反映に努めてきた。その結果、診療報酬全体の改定率+0.88%のうち0.61%は「看護職員や病院薬剤師などの処遇改善」対応分とされるなど、賃上げを重点に置いた改定が行われることとなった。また、働き方改革を含む魅力ある職場づくりの強化を求めた結果、答申の附帯意見には、今後の医療機関全体の取り組みや業務負担の増減などの検証とともに、実効性のある取り組みについて引き続き検討していくことが盛り込まれた。これらの確実な実行とともに、継続的な処遇改善に向けたさらなる施策が求められる。

3.患者への影響が生じた際には必要な見直しを
 入院・外来医療の機能分化・連携強化については、入院患者の状態に応じた適切な医療資源の投入を評価する見直しや、仕事と治療の両立の観点から、がん医療の外来移行や医療機関同士の連携などを促す内容などが盛り込まれた。施行後の状況に関する丁寧な検証とともに、患者への影響が生じた際には必要な見直しを行うべきである。また、薬価制度については、ドラッグ・ラグ/ロスの解消などに向けて評価のあり方を引き続き検討することが附帯意見に盛り込まれたことを踏まえ、今後の議論の中で、中間年改定のあり方を含め、必要な見直しを求めていく。

4.安心・安全で質の高い医療の確立に向けて引き続き全力で取り組む
 今後、少子・高齢化がますます急速に進み、医療、介護、障がい福祉など複合的なニーズを有する患者が増加していくことを踏まえ、都市部や過疎地を問わず地域で切れ目のない効率的な医療提供体制の構築が着実に推進されなければならない。連合は、構成組織や地方連合会、患者本位の医療を確立する連絡会などとともに、安心・安全で質の高い医療の確立と医療従事者が働きやすい職場づくりに向けて、引き続き全力で取り組んでいく。

以 上