事務局長談話

 
2024年01月30日
「家族法制の見直しに関する要綱案」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.離婚後の子の監護・養育のあり方を見直す要綱案を確認
 1月30日、法制審議会家族法制部会(部会長:大村敦志学習院大学大学院教授)は、「家族法制の見直しに関する要綱案」(以下、「要綱案」)を確認した。「要綱案」には、親子関係に関する父母の責務などの明確化や、法定養育費の制度化および「養育費等の請求権」へ先取特権を付与することなどが盛り込まれた。連合は、部会において子の福祉確保の観点から意見を述べてきた。

2.ひとり親家庭の貧困解消に向け、法定養育費の制度化は必要
 ひとり親家庭の貧困率が高い背景の一つに、養育費を受けている割合の低さがあり、特にひとり親家庭の多くを占める母子世帯の平均年間就労収入は236万円(厚生労働省調査)と厳しい経済状況にある。こうした実態を踏まえれば、ひとり親家庭の貧困解消に向け、養育費などの取り決めがなされることなく協議離婚した場合に対応した法定養育費の制度化や、「養育費等の請求権」へ先取特権を付与することなどにより、養育費確保の実効性を高めることは必要である。

3.共同親権を可能とするには、家庭裁判所の体制整備が不可欠
 「要綱案」では、離婚後養育への父母の関わりが多様化していることや、親権を失った親と子との交流の欠如が子の福祉に関わるとの視点から、これまでの単独親権に加え、共同親権を可能とする規律が新設された。一方で、児童虐待やDVの加害者が共同親権者となることで、被害の継続や拡大に繋がるのではないかとの懸念が部会において示されたことを踏まえ、父母間に対立がある時や、協議が調わない時などにおいて、家庭裁判所が関与する仕組みが設けられた。今後は、子の福祉の確保に向けて、家庭裁判所の役割がこれまで以上に重要となることから、人的・物的、体制の強化を行うとともに、そのための財源の確保が不可欠である。

4.連合は子の福祉の確保に向けて取り組む
 今後、法制審議会総会での決定および法務大臣への答申を経て、家族法制改正法案が国会に提出されることとなる。離婚後の子の監護・養育のあり方を含め、家族形態が多様化するなかで、広く国民の理解と納得を得ながら進めることが重要である。
 連合は、連合フォーラム議員などと連携し、子の福祉の確保に向け、国会における法案審議に対応していく。

以 上