事務局長談話

 
2024年01月22日
2024年度介護報酬改定に関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.介護と医療との連携強化は評価できるも一部で現場への影響を懸念
 厚生労働省の社会保障審議会介護給付費分科会(分科会長:田辺国昭国立社会保障・人口問題研究所所長)は1月22日、2024年度介護報酬改定に関する厚生労働大臣の諮問に対し、答申を行った。介護に加え医療ニーズをあわせ持つ利用者が増加する中、切れ目のないサービス提供に向けた介護と医療の連携強化は評価できる。一方、処遇改善を使途とする加算対象サービスの拡大見送りや、一部サービスにおける人員配置基準などの緩和は問題であり、改定後の現場への影響が懸念される。

2.すべての介護労働者の継続的な処遇改善に向けてさらなる施策を
 2024年度介護報酬改定率は、「介護職員の処遇改善分」としてプラス0.98%、「賃上げ税制を活用しつつ、介護職員以外の処遇改善を実現できる水準の改定率」としてプラス0.61%、合計でプラス1.59%とされた。処遇改善への活用が意識されるとともに、関係する3つの加算を一本化するなど、事務負担の軽減策も講じられた。しかし、居宅介護支援などが引き続き加算対象外とされたことは問題であり、他産業との賃金格差や昨今の賃金・物価動向を踏まえると、すべての介護労働者の継続的な処遇改善が可能となるよう、国としてさらなる施策を実行すべきである。

3.人員配置基準や技能実習生などの配置基準算入要件の緩和は遺憾
 人材不足を背景に人員配置基準などが緩和されたことは、ケアの質の低下や介護労働者の業務負担増などが懸念され、問題である。とりわけ、連合の強い反対にもかかわらず、介護ロボットなどを導入する施設の人員配置基準が一部緩和されたことや、就労開始6カ月未満の技能実習生も人員配置基準の対象に加える要件の見直しが行われたことは、遺憾である。国は現場への影響を丁寧に把握し検証するとともに、ケアの質の低下や業務負担の増加が見られるようであれば直ちに是正すべきである。

4.「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」と両輪で政策実現に取り組む
 人口減少と高齢化が進行する中、介護離職を防ぎ、誰もが安心してくらし働き続けられるよう、質の高い介護サービスを担う人材を将来にわたり確保することが不可欠である。そのためには、処遇改善はもちろんのこと、働き方改革を含む魅力ある職場づくりの推進が重要である。連合は、「みんなで賃上げ。ステージを変えよう!」を掲げる2024春季生活闘争を強力に推進し、組織拡大・強化の取り組みと連動して集団的労使関係を広げていくとともに、運動の両輪として、包摂的な「働くことを軸とする安心社会」の構築に向けた政策の実現をめざし、引き続き全力で取り組んでいく。

以 上