事務局長談話

 
2023年12月28日
ライドシェアにかかわる「デジタル行財政改革中間とりまとめ」に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.公共交通で保障される利用者の安心・安全が十分に担保されるのか見極めが必要
 政府は12月20日、第3回デジタル行財政改革会議において、「デジタル行財政改革中間とりまとめ」を決定し、「タクシー事業で不足している移動の足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かしたライドシェアにより補う」とした。具体的には、タクシー事業者の運行管理のもとで新たな仕組みを創設し、タクシー車両が不足する地域・時間帯に限って、アプリ配車とタクシー運賃収受が可能な運送サービスを2024年4月から提供するとしている。
 なお、この新たな仕組みは、国土交通大臣の許可(道路運送法第78条第3号)にもとづいて創設するとしているが、タクシー事業と同様に公共交通で保障されている利用者の安心・安全、ドライバーの安全確保、車両の管理責任などが十分に担保されるのか、重大な関心を持って見極める必要がある。

2.健康確保などに懸念がある働き方を広げることは容認できない
 特に、ドライバーの働き方については、「安全の確保を前提に、雇用契約に限らずに検討を進める」としているが、労働者でなければ労働関係法令が適用されず、結果的にドライバーが劣悪な環境での就労を強いられる懸念が拭えない。加えて、運行管理者に対して道路運送法等による健康診断などの健康管理や、副業・兼業を含めた過重労働の防止などの取り組みが課されないとすれば、事故などによって利用者や歩行者などの安全を脅かすことにもなりかねない。そうした懸念が多い働き方を広げることは容認できない。

タクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことは慎重であるべき
 また、「中間とりまとめ」では、2024年6月に向けてタクシー事業者以外の者がライドシェア事業を行うことを位置付ける法律制度の議論を進めるとしている。タクシー事業者以外が行うライドシェア事業は、先行する諸外国において様々な問題が指摘されていることに加え、タクシー産業の健全な発展を阻害しかねず、慎重な検討が必要である。

4.国民生活や経済活動を支える持続可能で強い交通・運輸体系の構築を求める
 連合は、わが国が直面する経済・社会の変化に的確に対応するとともに、国民生活や経済活動を支える社会基盤として、持続可能で強い交通・運輸体系の構築実現にむけて、構成組織・地方連合会とともに取り組んでいく。

以 上