事務局長談話

 
2023年12月22日
「こども未来戦略」の取りまとめに関する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「支援金制度」は社会全体で子ども・子育てを支える観点から問題
 政府は12月22日、こども未来戦略会議において「こども未来戦略(以下、「戦略」)」を取りまとめた。その中で、「こども・子育て支援加速化プラン」の実行に必要な3兆円台半ばの財源確保策として、社会保障の歳出改革、既定予算の活用に加え、「支援金制度」の創設が示された。子ども・子育ては社会全体で支えることが重要であるにもかかわらず、約1兆円を医療保険の保険料にあわせて徴収する「支援金制度」は、負担が増える労働者が出ることの懸念が拭えず、財源確保策として問題がある。

2.誰もが仕事と生活を両立できる社会の構築を
 誰もが安心して子どもを生み育てるためには、良質で安定した雇用の確保・維持を通じて生活の基盤を支えることが求められる。そのためには、固定的性別役割分担意識の払拭や、長時間労働の是正などにより、子育て世代に限らず、誰もが仕事と生活の両立をはかることが可能となる社会を構築することが最も重要である。今後は、「戦略」の取り組みの効果について、生活の質の向上はもとより、必要性・効率性および有効性の観点から政策評価を行い、不断の改善をはかる必要がある。

3.保育士の配置基準の抜本的な見直しを含む賃金・労働条件を改善すべき
 「保育士の職員配置基準の見直し」では、4~5歳児の最低基準の見直しが行われ、加算措置が設けられることとなった。ただし加算措置は事業者の裁量に委ねられるため、実効性ある取り組みが求められる。また、保護者の就業要件を問わず誰もが保育サービスを利用できる「こども誰でも通園制度」の実施にあたっては、すべての子どもが質の高い幼児教育・保育を享受できるよう、配置基準の抜本的な見直しを含め、保育現場で働く職員の賃金・労働条件を改善し、人材を確保すべきである。

4.子ども・子育てに関する財源は税や財政全体の見直しを含め幅広く確保すべき
 連合はこれまで、「支援金制度」については、社会保障の機能劣化への懸念、給付と負担の関係の不明確さ、今後の様々な政策の財源確保において前例になる危惧などの課題を指摘してきた。2024年通常国会には、「支援金制度」の創設を盛り込んだ法案が提出される見込みである。
 連合は、子どもの最善の利益の実現や、誰もが安心して子どもを生み育てられる環境整備を求める。同時に、社会全体で子ども・子育てを支える考えにもとづき、税や財政全体の見直しなど、幅広い財源の確保に向けて、連合フォーラム議員を通じた国会審議への意見反映や世論喚起などの取り組みを強化していく。

以 上