事務局長談話

 
2023年12月04日
核兵器禁止条約第2回締約国会議閉幕に対する談話
日本労働組合総連合会
事務局長 清水 秀行

1.「核兵器のない世界」の実現に向けた真摯な対話の継続を期待する
 12月1日、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢が緊迫する中、ニューヨークの国連本部で開かれた核兵器禁止条約の第2回締約国会議は、「人類の存亡に関わる核兵器の脅威に対処し、禁止と廃絶に向けて確固たる決意で取り組む」との政治宣言を採択し、閉幕した。
 本宣言では、「核兵器の近代化や世界情勢の緊張の高まりで、核のリスクはいっそう悪化している」としたうえで、核抑止論の正当化は核の拡散のリスクを危険なほど高めており、核による威嚇は国際法に違反し世界の平和と安全を損なうだけと非難した。その上で、現在と未来の世代のために、核なき世界の実現に向けたたゆまぬ努力を続けるとし、各国に対して核兵器禁止条約への参加を呼び掛けている。
 連合は、2025年3月に開催を予定している次回会議に向けて国際社会が対話を継続し、「核兵器のない世界」が実現できることを強く期待する。

2.日本政府には唯一の戦争被爆国としての役割を果たすことを求める
 核兵器の保有や使用、威嚇などを全面的に禁止する核兵器禁止条約は、2021年1月に発効し、93カ国・地域が署名し、うち69カ国・地域が批准している。
 今回の締約国会議には、59か国・地域のほかに、北大西洋条約機構(NATO)加盟国のドイツ、ノルウェー、ベルギーがオブザーバー参加した。日本からは前回と同様、広島や長崎の被爆者が発言し、改めて自身の体験にもとづいた核兵器の非人道性を国際社会に訴えた。しかし、日本政府は「核保有国が参加しておらず、その道筋もみえていない」として、2022年の第1回会議に続き今回も参加を見送った。
 わが国には、唯一の戦争被爆国としての重要な役割や果たすべき責任があり、核兵器廃絶を求める国際的な機運に対し目を背けることは許されない。核兵器保有国と非保有国との橋渡し役として、日本政府は批准への道を閉ざすことなく、まずは締約国会議にオブザーバー参加し、締約国とも対話するとともに、核軍縮に向けた実効ある取り組みを強く求める。

3.連合は核兵器廃絶のために引き続き取り組む
 連合は「核兵器廃絶による世界の恒久平和の実現」をめざし、被爆地広島・長崎で毎年8月に実施している平和行動をはじめ、これまで原水禁、KAKKINとともに「核兵器廃絶1000万署名」などの具体的な行動に取り組んできた。今後もあらゆる機会をとらえ、核兵器の廃絶に向けた国際社会の協調した行動を求め、関係団体と連携し、幅広い世論喚起に取り組んでいく。

以 上